第13作目。
マドンナは第9作目にも出演した吉永小百合が同じ歌子役を演じていた。
前作では結婚して幸せになったはずの歌子は、夫を病気で亡くし未亡人になっていた。
とらやで「歌ちゃん笑っているよ。良かったなア。」って涙ぐむ寅さんは優しすぎる。相手の幸せが第一。
「いくら心の中で思っていてもそれが相手に伝わらなかったら、それを愛情って言えるかしら?」の歌子のセリフは本質を突いていたなあ。
歌子は前作と比べると娘さんらしさが抜けて、しっとりとしていて違った美しさだった。
口下手な父と娘の和解が今作の中心だったし、とらやでのこのシーンは泣けた。
お父さん役の溝口清二はさすがの名優ぶり。
浴衣姿の吉永小百合と縁側で花火を観るって贅沢の極み。
さくらの「お兄ちゃんが居ないとね、みんな黙ってテレビ見ながらご飯食べて、それでお休みなさいって寝るだけなの。お兄ちゃんどうしてるかなっていつも思ってんのよ。」って寅さんに言うセリフは愛情が溢れていた。
とらやでの幸せについての話しも考えさせられた。
身内や友人、その他の人に「知り合って良かった」と思われる人になる事も一つの幸せっていうのも含蓄があるなぁ。
ロケ地の津和野は風情があった。
少し旅した気持ちになった。
全体的に恋愛の話しは薄く、家族愛の印象の濃いストーリーだった。