QTaka

映画 すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコのQTakaのレビュー・感想・評価

3.6
いつも忘れられがちな”すみっコ”たちの、居場所探しの旅物語。
絵本の中の『名作童話』を縦横無尽に旅をする。
はたして、子供たちは、この展開についていけるのかな?
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始まりは、”すみっコ”達の紹介から。
寒がりで人見知りの”シロクマ”
恥ずかしがり屋の”ネコ”
そのネコを励ます”雑草”
”豚カツの端”
「おにく1%、しぼう99%」
油っぽいからいつも残されちゃう。
そのお友達の”エビフライのしっぽ”
「二人の夢は、いつか誰かに食べてもらうこと」
(これ重要!覚えとくこと。)
コップの底に残された”タピオカたち”
鳥かどうか確かめたい”ペンギン”
それから、”埃”に”トカゲ”(恐竜?)と”ニセつむり”(なめくじ)。
喫茶店『喫茶すみっこ』の”オバケ”と”豆マスター”
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絵本『せかいのおはなし』に吸い込まれちゃう”すみっコ”たち。
このへんの展開は、子供たちにはおなじみなのかな?
絵本の中には、定番の昔話。
それも、飛び出す絵本ですから、仕掛けもいろいろ有って。
吸い込まれた”すみっコ”達は、その物語の登場人物になって、冒険が始まる。
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『桃太郎』
『マッチ売りの少女』
『人魚姫』
『アラビアンナイト』
『あかずきん』
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飛び出す絵本のいろんな仕掛けが舞台を面白くさせる。
もう一つ、空の裂け目(月?)が、実は絵本のページの破れた裂け目。
物語から物語へ、ページを超えて行くのは、この裂け目。
絵本の世界では、ページとページ、物語と物語が繋がっちゃうんだ。
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『あかずきん』ネタが一番面白い。
”豚カツの端”と”エビフライのしっぽ”
食べてもらうことを夢にしているふたりが、あかずきん役。
オオカミに見つかって…
とうとう念願かなって食べてもらえるのか〜
逆に、逃げることになるオオカミ。
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絵本の世界で出会った”ひよこ”。
彼の居場所探しは…
『みにくアヒルのこ』
そしてたどり着いたのは、白紙のページ。
”ひよこ”の居場所は、白紙のページだった。
この最終展開が秀逸。
”ひよこ”は、絵本の持ち主が、裏表紙に描いた落書きだったんだ。
絵本の中に、”ひよこ”の登場する世界は元々ないんだ。
で、”すみっコ”達といっしょになろうか…
ラストシーンは、居場所ってなに?なかまって何?を考える事になる。
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シンプルな話、展開の積み重ねで、大きなテーマを考えさせるストーリーになっている。
童話一つ一つの”世界観”を実にうまく組み立てて見せてくれている。
登場人物が、小さくて弱いものであるということ。
そこが絵本の中であり、それぞれに世界が有るということ。
さらに、そこに絵本なりの共通ルールが有るということ。
そして、「居場所」「なかま」「たすけあい」といったテーマを見せている。
良く考えられた”映画”だと思った。
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