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SKIN 短編のfieldのレビュー・感想・評価

SKIN 短編(2018年製作の映画)
3.6
たまたま限定公開されてる事を知り公式サイトで鑑賞した。ディープでいて胸に深く沈む重たさは凄いなというのが率直な感想だが正に描ききったという表現が相応しい。

小気味良い音で子供の頭をバリカンで刈り上げる子煩悩な白人のパパ。子供のトロイは屈託のない無邪気な可愛さがあったがそれとは裏腹に素行の悪さは予感してた通りだったな。ほんの些細な事でブラック系の男性と言い争いになりスーパーを出たとこを仲間と暴行に及ぶ。短いシーンだけど悲痛な表情で泣き叫ぶ被害者側の子や家族の姿にグッと重くなる。トロイの母は傍観者であったが少なくともこの両方の子供たちに見せるものじゃないよな。

見た目のアウトロー感も家族や仲間と湖の辺りで射撃に興じる素行もイコール差別主義者では無いがたった一つの言葉が暴行まで発展し、その処罰感情が軋轢を生み、溝を深めコミュニティごとに分断を進めてしまう。悲劇を呼ぶのは当然。
拉致され変わり果てた姿で教えた銃が仇になってしまう事より、幼い子にまで差別主義の芽が入りこんでいたのかと思うと切ない。昔からのテーマだけどこの根深さを描き続ける事に意義がある。

短編用にコンパクトにしたテーマだと思うがこれをベースにした長編も気になる。
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