和桜

五億円のじんせいの和桜のレビュー・感想・評価

五億円のじんせい(2019年製作の映画)
3.9
子供の頃に心臓の病にかかり、大勢の募金によって命を繫いだ青年。毎年テレビで特集を組まれ、常に周りの視線を気にして真面目に生きようとしてきた。しかし、高校受験を前に自分の限界が見え始め、自分にそのお金に見合う価値はあったのかと疑問を抱きはじめる。周囲の期待に耐えられなくなった青年は自殺を決意し旅に出て、それは奇妙なやり取りから五億円稼ぐまで終わらない旅となる。

なぜか最近の青春実写邦画との相性が悪いんだけど、これは良かった。ご都合主義の道徳映画と言われればそれまでだけど、こういうので良いんだよなぁと思える映画。キャスティングがハマりまくってて、誰もが優しくしたいと思ってしまう主人公を始め、登場人物のノーストレスな緩さが好き。
家出少年に「誕生日までには帰ってやれよ」と泊めてくれるホームレス、「お前の価値は自分じゃ決められねえんだよ」とか言ってくる訳ありそうなお兄さん、ある約束によって青年をこの世に止め続けるお姉さん。自分を知らない世界の中で、出会いや仕事を通して徐々に解放され視野の狭さに気づいていく。完全に主人公を中心に世界が回ってるんだけど良い良い。
大好きな漫画やアニメや映画や小説が終わるまで死ねないよね?って聞いてくる映画でもあるので頷くしかない。
和桜

和桜