レッドキング

スキャンダルのレッドキングのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.6
FOXニュースのキャスター、グレッチェン・カールソンがCEOであるロジャー・エイルズをセクハラで告発した実際の事件を基にした映画。

FOXニュースは共和党をヨイショするために作られたようなテレビ番組で、対立する大統領候補のネガティブキャンペーンなら、デマでも一日中報道するような番組。
そんな大統領候補を左右するほどの影響力を持つテレビ番組のトップに君臨したのが、ロジャー・エイルズ。
女性キャスターに昇進をチラつかせ、見返りに性的なことを要求。
拒むものなら、降格・解雇といった、絵に描いたような権力構造に君臨する男だったそうな。

タチの悪いことに、こんな過激な番組のせいでFOXニュースをクビになってもどこも雇ってくれるテレビ局がないのだ。
つまり、性的な見返りを拒もうものなら、たちまち職を失うことを意味する。
こんなに分かりやすいセクハラ環境のせいで、被害に遭った女性達はキャリアのため、生活のために声を上げることが出来なかった。

シャーリーズ・セロン演じる、メーガン・ケリーがグレッチェンの告発に追随して、自身も過去セクハラを受けたことを告白した際、
「やった後悔と、遅すぎたという後悔」というセリフが印象深い。
告発をしたことで今後のキャリアが揺らぐ後悔、そして声を上げなかったことで他の女性が同じ目に遭ってしまったという後悔。
当然、彼女には何の責任もないのだが
こういった告発で負い目を感じるのはいつだって告発した側なのだ。

そしてこの手の事案は、日常レベルにも潜んでいるんじゃなかろうか?
アルバイト先、職場、お酒の席…
年上・上司・取引先など、そこに何かしらの権力構造が成立してしまっている以上
相手が否定しなかったとしても、そこには「No」と言えない無言の圧力が存在する。
決して遠い海外の話などではないのだ。
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