m

スキャンダルのmのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
4.0
なにをどうしたら性的搾取されないのだろうか。浮き彫りになる真実にゆっくりと着実に力を合わせていく女性たちの描き方が見事で、骨太な《事実に基づく》作品だと思う。

ストーリーは実際にあった話を描いており、FOXニュースの創立者でCEOのロジャー・エイルズ(ジョン・リスゴーさん)のセクシャル・ハラスメントに対する女性職員の告発を軸に女性を主に描いた話。いつも事実に基づく話は実際の人に敬意を払いたくさん付けで書いているが、ロジャー・テイルズにさんはつけたくない。そう思わせるほどに今作はセクシャルハラスメントを真っ向から描いている。

セクハラに対する女性の反応は様々。グレッチェン(ニコール・キッドマンさん)はこの先も被害者を出していいのか?とロジャーを勇気を出して告発する。他に犠牲者が名を挙げると信じて。セクハラされながらも沈黙を貫いたメーガン(シャーリーズ・セロンさん)彼女はこの先もセクハラされたという汚点を背負って社会にいたくないと言う。そして、なにも知らされず野心だけが強かったケイラ(マーゴット・ロビーさん)なぜ知らせてくれなかったのと泣き崩れる。

この三者三様の描き方が本当に秀悦だと思う。女性の心理を上手く表現していた。
グレッチェンの気持ちも、メーガンの気持ちも、ケイラの気持ちも分かる。すべての女性に共感出来た。それは確かな演者の素晴らしい演技力の力もあるだろうが、完璧なまでに裏打ちされたキャラクター設定にあるだろう。

また告発しても、彼女たちは馴れ合わない。酒を飲むこともないし、話をすることもない。ただ告発したという事実だけがそこに存在しているだけ。これもリアリティがあって良かった。

グレッチェンが無言でスマートフォンを観ながら自転車を漕ぐシーンが印象的だった。あの時の心境は描かれていないけれど、彼女はどう感じていたのだろうか。嬉しい?悲しい?

またマーゴット・ロビーさんは素晴らしい演者ですね。シャーリーズ・セロンさん、ニコール・キッドマンさんという大御所に負けることなく存在感を発揮していて、なんならマーゴットの吐露が唯一大きな見せ場だったんじゃないだろうか。
あの雨の中、泣き崩れる姿にはこちらも泣けてしまってやってられなかった。

今作は視線が物を言う。エレベーターのシーンは圧巻だった。
事実に基づく話を丁寧に丹念にありのまま描いた今作。嘘の無い作品だと思った。

海外のニュースって本当セクシーな衣装なんだよね……。なんか…なんかやるせない。

ストーリー : ★★★★☆
映像 : ★★★☆☆
設定 : ★★★★★
キャスト: ★★★★★
メッセージ性 : ★★☆☆☆
感情移入・共感 : ★★☆☆☆

cc/ニュースをお伝えします
m

m