ちぇりー

スキャンダルのちぇりーのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
3.5
保守派、左派、フェミニスト、リベラル…(極右派でも有名な)トランプ大統領etc...開幕早々、Twitter(現:X)の政治界隈でよく使われるワードが一斉に飛び込んでくる。

政治思想もある種の宗教のようなもので、組織がカルトじみているとか昨今珍しくもない。某アイドルグループのタイムリーなゴシップネタがあっただけに尚更。
新聞をはじめとした各メディアは思想が偏っており、煽動的な記事も目立つ。メディアが本来の役割を果たしているか疑わしいのだが、テレビ業界は依然として最も強い影響力を持つのも事実。



本作の舞台は、アメリカでも有名な大手メディア企業FOX。
保守派の白人至上主義が罷り通っており、ベテランエース、落ちこぼれ、新人ホープのアナウンサー三人が上層に立ち向かうお話。(メイン主役となるアナウンサー三人ともに白人ブロンドヘアーでお見事。苦笑)

本作では女性の性の搾取問題について描かれていたが、敵は男ではない。看過する女性もいた。
男が男を、女が男を、または女が女を買ったり、性的な嫌がらせを働いたり、もしくは見てみぬふりしたり。
誰が声をあげて戦うとき、抑制しようとする者もたくさんいる。権力構造的な問題、社会的な偏見など複雑な理由で非難されるのだが、非常にグロテスクな光景でもある。もどかしいが、単純な問題ではない。

フェミニスト感満載な作品であったけれど、フェミニストとは女性だけではない、人間の尊厳についての課題だと思う。