エソラゴト

スキャンダルのエソラゴトのレビュー・感想・評価

スキャンダル(2019年製作の映画)
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3人の女性を軸に立場や置かれた状況は違えど自分達のやり方で信念を貫き世間に風穴を開けるという実話を基にしたお話には、題材や時代背景は異なりますが『Hidden Figures(邦題:ドリーム)』を思い起こしました。

米ソの宇宙開発競争を舞台とした1960年代から半世紀以上が経ち、女性の地位向上はその当時から比較すると格段に進んでいるように見えるその一方で皮肉にも新たな人権侵害〈ハラスメント〉が起きている現状を描いた今作。

しかも驚かされるのが、この一連の騒動はほんのつい最近、トランプ政権樹立直前の2016年の出来事というところ。それを社名・人名を実名でしかも本人の許可無くエンタメ作品として世に送り出す事が可能なのは、日本を含め他国では決して真似の出来ない米ショービズ界の真骨頂とも強みとも言えます。

個人的に感じたのは、この"スキャンダル"の起爆剤となる勇気ある告発を行ったニコール・キッドマン演ずるグレッチェン・カールソンにもっと焦点を当てて欲しかったという点。

彼女の行動力と発言力が波のように広がったからこそ、シャーリーズ・セロン演ずるメーガン・ケリーを含め何人もの女性にも影響を及ぼし一般大衆には見えなかった巨悪の醜態を炙り出す事が出来たのだから…。そしてさらにはマーゴット・ロビー演ずる若くして前途有望なケイラをも人として女性として目覚めさせるきっかけを与えたのだから…。

ハリウッドを震撼させたハーベイ・ワインスタインの件を映画化されるのもそう遠くは無さそうな気もします。


追記:
邦題は『スキャンダル(原題:Bombshell)』
通常パンフの表紙は原題そのままや日本語でタイトル表記の場合が多いのですが、今回は英字で『SCANDAL』。
因みに以前にこのパターンで見たことがあるのはホアキン・フェニックス主演の『ビューティフル・デイ(原題: You Were Never Really Here)』で『Beautiful Day』表記でした。かなりどうでもいいお話ですが、結構レアケースだったので記録しました。