特筆すべきは稀代のメディア王ロジャー・エイルズを演じたジョン・リスゴー。
目付き、口振り、鼻息もさることながら、何はともあれ、あの頬っぺた。
惰性と欲望と権力で緩み切ったポタポタは恥辱に塗れた栄枯盛衰の象徴だった。
ルパート・マードックに首を切られた時の表情は忘れられない。
あれこそ権力者の顔だ。
「えっ!どうして!?俺の何が悪いの!?」
根本的な原因が分かっていないから、いよいよ己が窮地に立たされて初めてその現状に目の球を剥くことになるのだ。ともすれば、あそこまで行って尚、本人は我が罪の重さに気付いていたのかどうかも怪しい。