【こわれゆく女…か?】
ネフリにて。本年度公開、マラーティー語の新作インド映画。離婚問題が得意な女性弁護士の活躍を描く…が、彼女自身、性的暴行の被害者だった。
…くらいの情報でみたが、まずOPで知ってへえー、と思ったのは、プリヤンカ・チョープラーの制作会社が作ったということ。こんな紹介記事も以前、出ていたのですね。
https://www.esquire.com/jp/entertainment/movies/a26231297/priyankachopra-firebrand-190207-hns/
映像としては、映画館で見たならチョトナ、な質でした。ヒロインのトラウマ回想シーンなどコントっぽい。
が、物語は一筋縄でいかない。最後まで、どっちへ転ぶかわからず、惹き込まれました。簡単に説明できない物語だが難解ではなく、層が厚い。ひとの複雑さについて、単純に見せようとしている。企画として志が高いなあ、と思いました。
ヒロインを演じるウシャ・ジャーダヴは、見た目はちんちくりんなオバサン。が、演技は的確で、ミニサイズな魅力があります。
夫役は腹話術人形顔のギリシュ・クルカーニですが、『ダンガル』の悪役コーチと正反対の役を演じて面白い。
基本、弁護士から見た女性の受難劇ですが、女性映画に留まらない余白があります。男が欲望のため女性を搾取すれば、結局その余波は男に戻ってくる、というサイクルが少し、意識されているようです。
紆余曲折を経て、ヒロインが辿りつく境地。それは幸福か諦めか。見る人により、受け取り方が変わるエンディングだと思うし、そこが本作の意義だとも思う。
私自身は、彼女は壊れたな、と思いましたが。夫も納得できる結末でないと、円満解決とは言えません。
プリちゃんの制作会社、これを見る限り、今後も期待できそう。
ネフリって掘れば掘っただけ、面白いものが見られそうですね。
原題(英題)は『Firebrand』だが、見終えてもピンと来なかった。
<2019.4.8記>