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作兵衛さんと日本を掘るのakiraのレビュー・感想・評価

作兵衛さんと日本を掘る(2018年製作の映画)
4.0
四年前に菊畑茂久馬先生の個展を見たことを思い出して、本人出てる!ってなりました。戦前から戦後にかけて、九州の炭田で育ち、命がけの炭田の現場を日記のように絵で描き続けた男、作兵衛。彼の親族や友人、知人、彼の作品に関わった人たちなどのインタビューを通して、戦前から続く日本の実像、その明暗のコントラストを読み解いていく映画。

トークショーで熊谷博子監督は、この作品が完成するのに8年かかった、5年目で作ったもの全てを捨ててゼロから作り直した、という旨をおっしゃっていた。5年目にして親族の言葉から出た筑豊炭田に対する差別、偏見の事実。
「筑豊は暗いのではない、後ろ暗いのだ。」
この映画が向かう方向は何か?戦前から何も変わらない、見たくないものには蓋をする依存大国日本の薄暗さか。それとも、理不尽な現状を受け止めて、明るくしぶとく、飄々と生き続ける筑豊の人々のまっすぐな眼差しの向こう側か。
作兵衛の描く目に宿る何かを忘れてはならない。
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