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ブルータル・ジャスティスのjonajonaのレビュー・感想・評価

ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)
4.0
強引な捜査で昇進への道が断たれた警察コンビが職務上知り得た情報をもとに麻薬ディーラーの取引現場から金塊を強奪しようと企む犯罪劇。同時に様々な立場のキャラの思惑が交錯する。

シリアスそうでドライなバイオレンスコメディ。怖いけどくすくす笑える。ここまで静かなノワール映画見たの初めてかも。
色んな人物の群像劇になっていて、作品特有のシュールな笑いが下地にある感じのノワール調のコメディということで、ちょっとパルプフィクションを思い出した。

アンチョビ、てなんなんだ…笑
誰も一向に解説しないああいう謎ワードおもしろい。チョベリバ、的な意味合いで使ってるんだろうけど何にせよ意味わからん。
メルギブソンのムスッと演技も良いけども、相棒のアンソニー役ヴィンスヴォーンのいい奴だけどバカっぽそうな顔が最高。この役に超ハマってると思う。彼のキャラがあるから観てられるってのまである。かなり好きな人間だった。

2人で車中で待機してアンソニーがゆっくりもしゃもしゃとハンバーガー?食ってるところ可愛かった。メルギブソン超嫌そう

メルギブソン演じる主人公にも相棒のヴィンスヴォーンにも、対極の強盗団の運び屋をする青年にも切羽詰まった事情があり、しかもそれがごく個人的で映画的規模でみると瑣末な問題なのがよかった。要は誰も助けてはくれないのだ。
娘が虐められてて妻が硬化症、金持ちの恋人と自分が見合ってないと感じるからなんとかしたい、出所したてで母は売春、車椅子の弟の面倒をみたいが金がない。ごく個人的で同時に自分達にも置き換えられる。
引きのカメラで延々撮り続けてて冷たい距離感なのがより世界の大きさに対して彼らがちっぽけな存在であるということを際立たせてるように感じた。

犯罪劇でまさかの2時間半もある長尺なのだが、腰を据えて見出すと意外と先が気になって見れてしまう。前編通して貫かれる静かなトーンと突発的なギョッとする暴力描写の容赦なさに病みつきになり、次は何が起こるのか大人しく待ってしまう。
緩急の付け方がとてもいい。

最後まで緊張感があってどうなるのか分からない、とても良いサスペンスだった。

銃の打ち方がみんな力を抜いて気だるそうに撃ってるようで、手を挙げる位の挙動で銃をパパパと撃ってそれで人の人体が壊れるという演出がすごかった。こんなあっさり…という絶望感がすごい。銀行のシーンの容赦なさは度肝抜かれた。
死ぬ時もすごいドライ。大丈夫か⁉︎って体動かそうとするとあーやめてやめて、しんどいわ、みたいな。
人の命が突然奪われる、というショックをうまく活写していて、バイオレンス描写はほんと他所であまり見ない間の取り方をしていておそろしくて最高。

最後のあれは、果たして幸せになれた表情だったのかね…クライムサスペンスらしからぬ考えさせられる着地だった。
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