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世界から希望が消えたならのWataのレビュー・感想・評価

世界から希望が消えたなら(2019年製作の映画)
2.5
宗教団体制作の映画ってどんなものなのかと興味が湧き鑑賞しました。


映画のクオリティとして気になりすぎる所も沢山あったけれど、それはいったん置いておいて、それよりもどのような意図のもと作られたのかが気になってしまいました。


新しい信者を増やすための布教映画なのか、既にいる信者の信仰心を高めるための映画なのか、


布教のために作られた映画だとすると、現代人の考えに合わないところが多すぎる気もするし、かと言って信者向けの割には、自分の宗教に疑問を投げかける場面も多かった気もするし。


根拠は何も無いし探す努力をするつもりもないけれど、とりあえず信仰だけは強くしろ、と言われているようで、信仰しようとは思えませんでした。

布教映画として、この不信感を抱く作りはどうなのでしょう。

信者の人たちに対してもすごく失礼な態度をとった映画にも感じられたし、信者の人達はこの作品にどういう感想を持つのでしょうか。



受け入れられなかった一番の理由は、根拠は何も無いけど信じろ!をすごい強調してくる所。

精神力で病気を乗り切ることが出来る、という考え自体は同意できる部分もあるけど、
信仰心さえあれば医学なんていらないという考え方は腑に落ちません。

病院に入院してお世話になっているのに、医者の言うことを真に受けるつもりはありませんとか、失礼すぎやしませんか!?


そこは百歩譲って許したとしても、ただどうしても納得できないのは、何を信じるかは個人の自由と言っておきながら、宗教よりも医学を信じる奥さんのことを悪魔として追い払う場面。

世界はひとつで争うことは無いと仰々しい演説をした直後に、自分の妻の考え方すら受け入れることが出来ないなんて。

言ってることとやってることがちぐはぐなのは、宗教としての根幹が揺らぎますよ。


それに、あの大事な仰々しい演説の場面で、あの英語の発音はさすがに笑ってしまいます。
もう少しでいいから練習する努力はしてほしかったです。


この映画を通して、教義に1本の芯を感じることはとても出来ず、伝えたかったメッセージとは何なんでしょうか。



現代科学批判をしている描写が多々見られるのに、団体名に科学をを入れているのもよく分からないなと思ったり。


どんな映画を作っても信者からの安定した興行は見込めるという奢りがあるのかなとか、大川咲也加さんの脚本に意見言ったりする人はいるのかな、とか野暮なことを考えてたりしてしまいました。



しかし、こういう類の映画がコロナ禍の映画館を助けていたと思うと、複雑な気持ちです。
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