ひねくれはちゅう類

スパロークリーク 野良犬たちの長い夜のひねくれはちゅう類のレビュー・感想・評価

4.8
※今回ホラーなんやらはお休みです
あらすじ
邦題を考えた奴が「この副題かっこよくない?俺のセンスぱねぇわ!」って思ってることに腹が立つ。


子供の頃の僕は、世界中に突然魔物が現れて、僕が英雄として戦わなければならなくなる未来の予定だった。戦いたくはないけれど、間違いなく凶悪な魔物が現れる予定だったから、頑張って身体を鍛えていた。主人公の人生ってせつない。そしておっさんとなった現在のところ、魔物が現れて僕が戦わなければならなくなる事態は発生していない。僕の人生ってせつない。

で、魔物と戦う予定の武器の名は、戦国時代に無名の武士が使っていた「豪刃・荒削り」という槍。RPGゲームに出てくるような絢爛豪華な武器ではなくて、粗野で無骨で扱いづらく、しかしながら破壊力に関しては並の伝説の武器にも引けをとらないという非・伝説にして最強クラスの武器。よくもまあこんな恥ずかしいことを考えていたもんだ。

この中二黒歴史を述べたのは、この映画に僕は映画界の「豪刃・荒削り」の称号を贈りたいからだ。たぶんこの映画に送られた賛辞の中で最低の賛辞なんじゃないかな。うるせぇ、俺が監督の立場だったとしても、こんな称号を貰いたかないやい!

でも、どう誉めてよいかわからないのだよ。たぶん、名作と言われる密室シチュエーションサスペンスよりも脚本は(よく考えると)荒い。演出も良くない。撮影もけっこう見辛い。BGMとかほぼない。
が、とにかく引き込まれまくる!見終わって、一息ついて、やっと「あれ?けっこう脚本雑じゃない?」って気づいた。悔しいくらい映画にのめり込んでたんだよ。

テンポがよいとか設定がよいとかそういうのは逆にささいな問題。観客を無意識のうちに疑心暗鬼にさせて、あたかもその場にいるような緊迫感を与える作りになっているんだ。これはもうセンスと言わざるをえない。

この監督は、僕の中で将来スゴいことになる予定だ。間違いない。豪刃・荒削りで世界を救う英雄の予定だった僕が言うんだから間違いない。