にっきい

夢幻紳士・人形地獄のにっきいのレビュー・感想・評価

夢幻紳士・人形地獄(2018年製作の映画)
2.6
20歳前後には絶対見えない。

若い頃大好きだった『夢幻紳士』初の実写化作品。

連続少女失踪事件の話し。
ボクの好きなマンガ家で諸星大二郎や高橋葉介、飯田耕一郎の作品は実写化無理だと思うんです。
実際諸星大二郎の『妖怪ハンター』は沢田研二主演で原作とはかなり違う話しになってたし、この『夢幻紳士』は原作覚えてないけど映画自体が残念な仕上がりでした。
そもそも稗田礼二郎や夢幻魔実也をイメージ通り演じれる人間が居るとは思えない。
どちらも如何にもマンガ的キャラだから。
これの原作『夢幻紳士』シリーズは連載された時期や雑誌によって、夢幻魔実也と言う少年探偵が活躍する設定以外はジャンルすら違う別物。
その中で今作は怪奇編に含まれる作品で、年齢も若干高く青年で非常に暗く重いストーリーになっています。
ボクも怪奇編が1番好きなんですが、やっぱりあの独特の雰囲気は実写じゃ再現出来ないよなぁ。
ストーリーは事故を起こしたトラックの荷台から発見された大きな木箱には、出稼ぎに出たまま連絡が途絶えていた少女が入っていた。
しかし少女はどんな外的刺激にも反応しない人形のようになっていたのだが…、って話し。
魔実也が相手の心を操ったり心の中を覗いたり出来る能力があるから、かなり早い時点で理由も犯人も分かってるのになかなか直接対決しない。
1回あいまみえるのに魔実也が薬で眠らされるのに犯人はそのまま帰る?
せめて拷問ぐらいしろよ!
万事そんな感じでテンポ悪い。
敵は魔実也と同じく相手の心を操れる能力者。
攫ってきた少女を生き人形として売り捌く。
クライマックスは能力者同士の心の操り合い、の筈なのに緊張感も無く決着って…。
そもそも原作のおどろおどろしさが全然無かったのがダメ過ぎる。
原作でも直接的なエロは無かったけど、映画はエロもグロも全然無いとても怪奇編とは言えないような出来でした。

さて今作の原作者高橋葉介では『夢幻紳士 怪奇編』と同じくらい『クレイジーピエロ』が凄いです。
ピエロが人殺しなんですが、殺人鬼でも正義の味方でもない、まさにダークファンタジーって感じです。
飯田耕一郎の『邪学者 姫野命シリーズ』は所謂悪魔祓いモノなんだけど、人間の内面を描いた切ない後味の作品。
そして『妖怪ハンター』の諸星大二郎なら、『生物都市』と『不安の立像』が圧倒的。
『生物都市』はハリウッド映画になりそうな侵略系SFなんですがスピード感がとんでもない。
ボクが初めて諸星大二郎と出会ったのが『不安の立像』で、タイトル通り不安を煽る内容の傑作。
いずれも原作が神過ぎるから実写化はちょっと…。




*********鑑賞記録*********
鑑賞日:2021年7月27日
鑑賞回:19:15〜20:50
劇場名:出町座
座席情報:BF D-5
上映方式:2D
レーティング:未審査
上映時間:90分
備考:招待券
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