幻影で人を操る男が田舎町の誘拐事件に巻き込まれるお話です。最初から最後までボーッと夢でも見てるような奇妙な映像美でした。
舞台が昭和初期であり、少女や人形にまつわる怪奇なお話でもあるので、まるきり夢野久作です。ドグラマグラが好きなら見て損はなしです。
配役が絶妙でした。ちょっと謎めいた主人公、日本人形になってしまう少女、目力のある怪しいお嬢様などなど、皆そこにいるだけで絵になります。舞台にも雰囲気がありました。古い日本家屋を薄暗くするだけであんなに濃密な雰囲気が出るものなのですね。あれを見れただけでも満足です。
個人的に、市松人形が飛びまくるシーンが好きです。馬鹿馬鹿しさと不気味の真ん中は最高に楽しいなと思います。
これはいはゆるアングラと耽美の世界なのでしょう。人からどう思われようとこういうのが好きなんだよという懐かしい気持ちを思い出しました。