せびたん

夢幻紳士・人形地獄のせびたんのレビュー・感想・評価

夢幻紳士・人形地獄(2018年製作の映画)
4.4
原作漫画の夢幻魔実也(むげん•まみや)は妖しい少年だったけど、実写版では怪しいおっさんになっとるやんっ!絶対職質される人やんっ!というのがジャケ写見た時の率直な印象でした。にもかかわらず、冒頭5分くらいで引き込まれまして、最後まで退屈せずに(標準再生速度で)、むしろノリ気味に見れました。これって実写化もの映画の中ではレアな体験だったかと。

「原作と本作は別物なんだ」という線引きを心の中でしっかりと、納得の上でできたというのもレアな体験でした。原作がある場合、違和感は最後まで続くはずなのに!

まず映像が綺麗でした。色もよかったです。
とりわけ黒がとても綺麗だったんだけど、どうやればあんなに鮮やかな黒?深い黒?になるんでしょうねぇ。
CG処理かな?(←お前、夢がないなw)

視覚的には完全に黒が主役だなって思いながら見てましたわ。物語の主役は夢幻マミヤだけど、視覚的には黒が主役だわこれ。オシャレだわ。木漏れ日撮ってるのかなあって思ったら黒がじわーっと出てきたりしてたし。

アート性がわりと高かったと思うんだけど、それが他の要素の邪魔にならないで、うまくまとまってるというか。まとまってるわけではなくて他の要素と相乗効果出してるっていうか。アート性が単独で前に出て行かないというか。

うん。
おれ、これのことうまく語れませんわ。
これを見て心の中に湧きおこってくるものは言葉にできないです。無理やり言葉にすると意味が変わってしまうし、一度変わってしまった意味って元に戻せないから、したくないです。貴重な映画体験となりました。

なのでもう自分にとってのキーワードだけを並べますけど、和テイスト、大正ロマン風、和服、黒、人形、キャスティング完璧。市川崑の金田一シリーズ、エヴァ、羅生門、ツィゴイネルワイゼン。この役者さん達もしかして和服着慣れてる?

そうそう、和服もよかったんだよなぁ。
いっこいっこの和服も良かったし、和服どうしの色のバランスもよかったし。
しかも和服全体が、すごくしっくり来るような。「ハレの空間ではない空間」の和服だった気がしました…って、なんのこっちゃ。これ絶対、ずっと後になってから読み直したら、書いてあることがまったく分からんくなってるパターンだわ。

本作は、ありです!🐜←違うけど。
原作をきっちり消化しておられるというか。消化じゃなくて昇華でしょうか?(デショウカショウカショウカ…)
よくありがちな「蹂躙」ではなかったことが原作を好きだった私にはとても嬉しかったです。

2/23追記
キャスティングもよかった!
役者さんが映える配役だっかと!
お嬢様役の人なんて原作そのものやんっ!

4/3追記
本作の印象的な黒は、原作のベタ塗りへのリスペクトやったのかもですねー。



以下は本作には直接関係のない話。



漫画や小説→アニメ化を知った時。
とてもわくわくするし、ついに来たかぁってテンションあがる。

漫画や小説→アニメ化からの実写化を知った時。
お葬式に参列する気分になります。コンビニとかで「こちら○○弁当になります」って言われた時の気分にちょっと近いです。ひとつのコンテンツ(原作漫画)が天寿を全うする時がきたのだなとさびしい気持ちになるんですよね。ひょっとしてコンテンツとして勢いがある時はイメージ壊すおそれがあるので実写化の許可出さないのかな?とか余計なことを考えたりします。勢いなくなったら最後に実写化でひと儲けみたいな?いやこれは勝手な想像ですけど。自分が原作の作者サイドの人だったら、そんなふうに考えるかもなので。笑

でも。いつも大好きだったから目を背けないで最期を見届けなきゃと覚悟を決める私ですわ。実にけなげなおっさんです。そうやって「ジョジョ」や「氷菓」や「4月は君の嘘」や「アナザー」を見送ってきました。ちなみに以上の全作品の主役は山崎賢人さんです。
そんなこともあっていつの間にか山崎賢人さんが遺族の気持ちに寄り添ってくれる葬儀会社の担当さんみたいに思えてました。「かぐや様は告りたい」は、山崎賢人さんが担当してくれなかったせいか、わたし的には原作が成仏できてないような気がしてなりません。私の中では消化できておりません。ですので将来、スパイファミリーが実写化される際には、ぜひとも主演は山崎賢人さんでお願いしたいです。キングダムが大ヒットしちゃったから、もうやってくれないのかもだけど。
せびたん

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