うにたべたい

大菩薩峠のうにたべたいのレビュー・感想・評価

大菩薩峠(1960年製作の映画)
4.3
山梨県の大菩薩峠への登山を計画しているのですが、大菩薩峠に登るのであれば本作は先に見ておかないと行けないと思い、予習のために見始めました。

原作は戦前に書かれた長編小説で、全41巻に渡る一大巨編です。
ちくま文庫などから出版されているので、現在も読むことはできるのですが、流石に長すぎるので、今回は映画版を視聴。
小説の方もいつか読んでみたいと思います。

劇場版は何度かリメイクをしています。
1935年の日活版から始まり、1953年の東映・渡辺邦男監督の三部作、1957年 同じく東映・内田吐夢監督の三部作。
本作はその次の、劇場版としては4回目となる、1960年制作の大映版となります。
全3部作で、監督は"眠狂四郎"や"子連れ狼"シリーズ、そして"大魔神"シリーズ2作目『大魔神 怒る』を監督した三隅研次さん。
主人公の机竜之助は市川雷蔵が演じています。
机竜之助は物語始まりそうそう罪のない老人を辻斬りし、奉納試合の相手の妻を水車小屋で手篭めにするとんでもない極悪浪人なのですが、ニヒルな二枚目の市川雷蔵が演じると憎み切ることができないですね。
その後も手篭めにした「お浜」に子供を産ませて、江戸に連れて行くのですが、ろくに子供を抱きもせずに悪銭を稼ぎます。
時代劇は基本的に勧善懲悪でシンプルな構成をしていると思っていたので、主人公の悪党ぶりには驚きました。

殺陣がしっかりしていて、机竜之助の無敵さが伝わってきます。
古い映画なので観ながら寝てしまうことも覚悟していたのですが、平日夜から観始めたのを後悔するおもしろさでした。
ただ、最後はすごく中途半端なところで、急に立ち込めたモヤに包まれて画面が白くなり、第一部・完の文字が表示されます。
「こんなところで終わるの!?」というところでぷっつりと終わるので、こりゃ次回作も観ないといけないですね。

ちなみにお目当ての"大菩薩峠"は、序盤のみであまり出てこなかったです。
今後も大菩薩峠は関わりそうな展開なので、次回作も楽しみです。