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浅田家!のtomひでのレビュー・感想・評価

浅田家!(2020年製作の映画)
4.0
「浅田家」という写真集が写真の芥川賞といわれる木村伊兵衛写真賞を撮った2009年当時、書店で自分もこの写真集を手にしたのを覚えている。まぁ面白いなとは思ったが、なぜこんな写真が木村伊兵衛写真賞なんだろう?とも思った。それ位あまり興味が持てない写真だった。

だから、その「浅田家」が映画になったと聞いても全く興味が湧かなかった。でも自分の周りでこの映画の評判が良いのと、写真を撮る人は必見との触れ込みがあったので劇場まで行ってみた。

========以下ネタバレあり==========

結果、劇場まで見に行って良かった。泣くとは思わんかった(笑)自分は趣味で写真を撮るので尚更感じる事があったのかも知れないが、とても良かった。

一眼レフなどで写真を撮った事がある人、写真をプリントした事がある人、仕事で写真を撮っている人、写真に絡んだ仕事をしている人、プロのカメラマン、写真家と呼ばれる人、これら全ての人に観て欲しいと思った。観た上でこの映画を否定するのもいいと思うし、賛辞を送るのもいいと思う。先ずはこの映画を観てからシャッターを切ろう(笑)

映画の前半は浅田家の様子、その子供が写真家になるまでを描いたよくある展開。後半の東日本大震災の下りに入ってからはとても考えさせられた。

写真という紙切れの存在、その紙切れが訴える力の凄さ。写真が写真以上の力になり得る可能性を感じる。撮られた写真の背後、写真を撮るプロセスにある人々の想いや感情、一枚の写真には撮られた人と撮った人、両方の人生の刹那が写し込まれている事を改めて気付かされる…。

震災で父親を亡くした女の子の海水浴家族写真を撮るシーン、虹を描いた家族写真を涙を流しながらシャッターを切るシーン、好き。

二宮和也、平田満、黒木華、めちゃくちゃ良かった。東日本大震災以降の浅田政志さんの写真は見たいと思った。

「人生で最後の一枚として、あなたはどんな写真を撮りますか?」
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