ミルトン

ラストナイト・イン・ソーホーのミルトンのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます



“映画”を観たな……という満足感と興奮の余韻にたっぷり浸れた映画体験でした。

ホラー調の塩梅が個人的にちょうどよく、万華鏡的なワンカットがどれも脳に直接刺激を与えて記憶に残るイメージがたまりませんでした(序盤のトリップシーンと言うよりは特に終盤、階段でエリーを追い込むサンディの舞台カット)。
ロンドンが生んだ夢と憧れ、その裏に潜む真っ黒な闇、と茶化さずもうただのくだらない性欲の塊、と書いてしまうけれど、それが彼女達に与えた苦しみをエドガーライトが救いに落とし込んで締めたのが良かったです。
(だからこそベッドでエリーに助けてと呼びかける男らの気色悪さと胸糞悪さとがサンディの殺人動機をより明確なものにしている印象を強く感じられました。あんなのは死んで当然とさえ思える)

この作品の要点は現代にも通ずる女性たちの生きづらさのようなものを忘れないようにしたいという点にあるのを絶対に分かった上で、ラストにエリーがサンディに見守られながら、ファッションデザインで評価を得られたシーンを“救い”として締めたのが、「ワンスアポンアタイムインハリウッド」のイフルートのようで僕は映画的で大好きでした。
年間ベスト入りです。
ミルトン

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