うりた

ラストナイト・イン・ソーホーのうりたのレビュー・感想・評価

4.3
ネオンが眩しければ眩しいほど、ソーホーの夜の闇が際立つ…

エドガー・ライト監督は本当にセンスのかたまりですね…。
最近はただド派手に見せるためにVFXを多用する映画も多いように思うけど、この作品では「映画は魔法だ」と言わんばかりに創造力豊かにVFXが使われていて感動した。ポスターにもあるような赤と青がとても印象的。
眠りに落ちる時のような、はたまた気持ちよく酔っ払ってる時のような、あのフワフワした感じを視覚から得られて、ああとっても美しいなと思いました。

ストーリーはただ怖がらせるだけのホラーじゃなく、だんだん謎が解けていくサスペンス的要素や、社会に警鐘を鳴らすような風刺的要素、そして2人の女性の人生を描く人間ドラマ的要素と、色んな切り口で語ることが出来るのがこの作品の奥深いところ。

60年代のファッションや音楽は素直に素敵だと思うけれど、やっぱり古き良き時代と言いながらも思い出補正はあるよな。
日本で言えば「バブル期は景気が良くてよかったな〜!」って言う人がいる一方、その影には過酷な労働環境で潰れたサラリーマンやワンオペで壊れた主婦も今以上にいるだろう。
「昔」から学んで「今」を良き時代にすることはできるのだ。

できるだけネタバレ避けつつ言うと、一番感動したのは最後の固定電話が絡む展開でエロイーズが下した決断かな。
あの場面で自分が救われることしか考えない答えをしてたら一気にこの映画に失望してたと思うし(色んな意味で)、あの答えだったからこそ本当にサンディとエロイーズが繋がったと感じた。
そこからの投げキッスは本当に泣ける。

フィルマガの考察読んで、色んな映画のオマージュまでは自力で読み解けなかったのですごく勉強になった。
007始めそこに書かれてた作品も色々見てみようと思います!
うりた

うりた