Kitty

ラストナイト・イン・ソーホーのKittyのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

エドガーライト作品ということ以外は前情報はほぼ入れずに鑑賞。

ストーリーに関しては、序盤から中盤までは手に汗握ってのめり込んで観ていたのに、殺人を目撃して以降の展開で無理に感じるところが多く、そこで冷めてしまった。
お爺さんの正体について、追い詰められていたとはいえ流石に思い込みが激しすぎるように思うし、授業中に何かに怯えるように教室を飛び出したり、同級生にハサミをブッ刺しかけておいてラストのアレはちょっと都合が良すぎるように思う。
映画のエンドロール中、どう信頼を取り戻したのかが気になって仕方がなかった。

基本的に、リングしかり死霊館しかり、謎を解き明かそうとするパートを軸にすることで物語の目的地がハッキリして観客の興味を引き続けられるため、ホラーとミステリは相性が良い。
ミステリにおいて、情報の隠し方と明かし方というのが非常に大事だと思うのだが、今作は隠し方が非常に甘かったように思う。
ちゃんと見よう、聞こう、知ろうとすれば分かることを、ただただそれらをしないことで情報を隠すやり方に終始しており、中盤以降は特に非常に受動的な展開だった。

良かった点としては、過去と現在の繋ぎ方と霊の描写。
初めて過去と現在が交錯したときの、2人が入れ替わり立ち替わりダンスをするシーンはこの映画ならではの効果的な表現だったように思う。
霊の描写についても、わりとシルエットがぼやけた霊はありきたりだが、終盤になって理由が分かることによってそのありきたりな姿や行動に明確な必然性が生まれるのは良かった。

また、エドガーライトらしく音の使い方や楽曲のアレンジが巧い。
ホラーということを知らずに観ていたが、序盤の音の使い方からホラーだと分かるほど音の演出の方向性が明確だった。
また、既存の楽曲をアレンジして現代と過去を繋ぐ架け橋にしているのも巧かった。
鏡や2人の入れ替わりを使った表現に加えて楽曲の演出があったことで、よりシームレスに過去と現代を描けていたように思う。


演出や音響は非常に興味深かったが、ストーリーの求心力が弱く、総合的には平均程度の作品に落ち着いた印象。
Kitty

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