ボギーパパ

ラストナイト・イン・ソーホーのボギーパパのレビュー・感想・評価

4.0
2022-03 ブルク13

昨年公開されてから観よう観ようとしていたが、ちょいと多忙で、ようやく観られました。評判が高いものの作品の性質上、レビューも全く読まず、作品に向き合いました。

60年代の音楽に乗せてスタイリッシュなオープニング。ん?なんだ?この違和感。
こんなジャンルの作品だったのか?
でも・・・
やはり「見える」人ってことだよね?
そうそうやっぱりねーって進んでいくと・・・

映画は絵画であり、芸術であり、そして一種のショーである。

本作は特にイリュージョンというか、極めて上質な手品!
観客の関心を言葉巧みに、ヒラヒラと華麗な技法で左手に向けながら、右手でそれまでの流れを転換させる仕掛けを操る、といった熟練マジシャンの手口!美しい技に魅了された。先入観により手玉に取られ、結局、逆手に取られ捩じ上げられた感覚。参った!
終盤の「あそこ」まで、まんまと騙されて、それでいて騙されていたことに気がつくとむしろスッキリする。鮮やかで見事な手口、手腕でした。

このところ『マリグナント』(夢つながり)や「アンテベラム』(何で私はここにいるの?つながり)は、そのギミックが分かっていたことを鼻にかけていた自分を恥じるばかり。やられました(^^)

また本作は60年代ロンドンへの憧憬や、おそらく『サイコ』へのオマージュがふんだんに盛り込まれておりそこも見所。アニャ・テーラー=ジョイ、トーマシン・マッケンジーのシンクロを鏡、水面、ガラスなどを多用し表現するスリリングさを増す技法にも、照明の明滅で緊迫感高める演出も見事。その上、実はたっぷり引かれている伏線回収も大好物。

堪能いたしました。いいお正月になりました。
ボギーパパ

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