ぴんゆか

ラストナイト・イン・ソーホーのぴんゆかのレビュー・感想・評価

3.1
“OLD”でもいい味を見せたThomasin McKenzie が主役に抜擢。
上作でも活きた、彼女の少女ともまだ大人ともつかない、もしくはどちらともいえる外観が今作もぴったり合っている。

田舎で祖母と2人、慎ましく暮らしつつも自分で服を縫ってみたり、デザイナーになる夢を小さな自分の部屋で妄想したりしてまさにまだ可能性いっぱい、何も恐れのないかわいらしいティーン。

だからこそ、都会に出てきてハイブラでマウントとるような同級生と取り巻きに遭遇して、自分で作った服を妬まれたり馬鹿にされて、でもどう振る舞うのか正解か分からなくて周りに合わせて夜の街を繰り歩きショットを飲んで、、のシーンはくるものがある。

大都会に出てくるとは、どの国でもある種洗礼を受けることなんだなと思う。
そしてそんな夢見る若者が似たような安アパートに引き寄せられてくる。。。

女優になれる、アイドルになれる、などと乗せられて気づいたら風俗産業にいる人は少なくないと聞く。
昨今このような職への敷居の低さからなんとなく暖簾をくぐってしまう人もいるだろう。
本人が満足していて、人として当然の待遇を受けていれば問題ないのだが、金銭と引き換えに、もしくは弱みを握られて馬車馬のようにただ精神を病んでいく人も多い。
もちろん本人の迂闊さや、思慮の足りなさもあるかもしれない。
でも、小さな町から希望を背負って出てきた若者たちに、都市の人間には自明の"渡り方"がどうして分かろう。

心配してくれる家族や大人が周りにいても、大手を振って出てきてしまった手前、かえって気を遣って本音を言えない若者が多いのも難しいと思った。

最後のシーン、深読みするとハッピーなのか分からないがどうかそうであってほしいと思った。


見所ともいえるアニャのディスコでのシーンは凄まじく景気良くて体験したことなくてもいい時代だと思わせる。

ちなみに主人公、とんでもなくよくできた聖人青年に誘われてるのに、悪夢の続き見たいから断るのすごいね??
ぴんゆか

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