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ラストナイト・イン・ソーホーのmのレビュー・感想・評価

3.0
メッセージ性がぼやけていて輪郭が行方不明。なにを大切にしてなにを届けたいのか取捨選択をして欲しい作品。

アニャ・テイラー=ジョイさんは婚約?結婚されたのかしら?するのかしら?なにより幸せならいいんだけど、続報楽しみにしてます。
そんなアニャ・テイラー=ジョイさんの魅力たっぷりな今作。トーマシン・マッケンジーさんも出演しており、画面は華やか。その華やかを消し去るような業界の闇を描いた今作は少々やり過ぎではないかと感じるほどのでき。やり過ぎというのが適切かどうか悩むのだが、伝えたいことをより伝えるためになににフォーカスするかを取捨選択したほうがいいのではないかと感じた。

今作はいわゆる、業界の闇を描いた作品。だが、タイムリープ(とも言えないか)のような雰囲気だったり、音楽だったり、ファッションだったり監督のやりたいことが多過ぎた。

今作に似ていて、公開した年も近い、『プロミシング・ヤング・ウーマン』と似たようなメッセージ性なのだが、Filmarksのレビューを見ていると今作にメッセージ性という観点・ファッションという観点で軍配は上がりそうにない。私も『プロミシング・ヤング・ウーマン』より弱いなぁと思ってしまう。(ただ私は『プロミシング・ヤング・ウーマン』が合わなかったので今作の方が好き)

まだ観ていないのだけど、『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督らしく音楽の使い方は本当にクール。素晴らしい。テンション爆上がり。なんだけど、多分それをメッセージ性のある作品で使うのは違かったのではないかと思う。抑えてもいい。抑えた方がよりメッセージ性が際立つように思える。音楽かメッセージ性か選んでほしい。今作両立はしていない。

映像も素晴らしい。エロイーズ(トーマシン・マッケンジーさん)とサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)が入れ替わるダンスシーンは新しい物を見れたように感じる。オリジナリティあってとても良い。が、このシーンだけ印象的で後は失速したイメージがある。このシーンが撮りたいだけの作品だったように思える。

男性という恐怖感を演出したいのか、それともエロイーズの精神の壊れっぷりを演出したいのか、どちらか定かではないが、逐一顔の見えない幻影を映し出したのも少々ダサい。
そして、ラストが監督変わった?と思ってしまうほど陳腐な物で拍子抜け。

ここまで酷評したが、妖艶な赤と青のライティング、上記で書いたダンスシーン、また60年代のソーホーの風景など、過去からのインスピレーションはあれどオリジナリティ溢れ、美しく心躍るシーンが沢山ある。目で見る映画という意味では楽しかった。

cc/魅惑的で恐ろしい、60年代ロンドンへようこそ。
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