yuma

ラストナイト・イン・ソーホーのyumaのネタバレレビュー・内容・結末

4.3

このレビューはネタバレを含みます

うーん、評価はすごく分かれちゃうんだろなぁ。僕はすごい好きでした。


怒涛のラスト。まさか大家さんがサンディだとは。これは中々気付けた人いないんじゃないかな。お茶勧められるまで気づきませんでした。今回は人ごとに感想をまとめてみようかな。


まずサンディから。辛いな。夢を追いかけていく中で理不尽な売春行為をさせられる。そんな日々に耐えられなくなって、人をどんどん殺しちゃう。とても許されたことじゃないけど、すごく可哀想。女の人がこれを見たときどういった感情を抱くんだろ。僕たち男性より辛い思いを抱えてしまうんだろな。それも含めて、本当に辛い。
ただ、夜8時以降に男子禁制にしたのは自身の経験を他の女の子にさせないためにしたことなんだと思いました。
結果として本当に許されるべきでない大犯罪を犯してしまった彼女ですが、男尊女卑社会の被害者の1人で、完璧なヴィランと呼べるような人間ではありませんでした。
アニャは本当に芸達者!!


次にエロイーズ。夢に溺れて、夢に追われる。一言で表すとそんなふうに言えると思いました。
現実に上手く馴染めず夢の世界に夢中なるけど、結局夢の世界に現実が飲まれてサンディと同じ道を進みかけちゃいました。
これってちょっと二重構造みたいな感じになってるなって思いました。サンディは歌手になるという夢を追って自分が壊れちゃって、エロイーズはサンディへの憧れを夢で見ていて自分が壊れかけたけど、この二人の決定的な違いは周りの人だと思いました。ジョンとかおばあちゃんがいたから、エロイーズは軌道修正できたんだろな。
あの部屋にずっと死体があったってことよね。こわ。
トーマシンちゃんをどっかで見たことあるなと思ったら、ジョジョラビットのお姉ちゃんなのか、納得。

次、幽霊たち。
幽霊たちも社会の加害者ではあるけども、やっぱり本人たちは理不尽にサンディに殺されたって思ってるだろな。なんでこれで殺されなあかんねんって。でも、これこそいじめの定義みたいなものが輝く場面ですよね。”相手がいじめだと思ったら、それはもういじめです。” そうやなんよな。うーん。だから、そこの価値観が今より大きくずれてるっていうのが男尊女卑社会の怖さなのかな。ただやっぱりまだずれた価値観が残ってるから、それを修正しよっていうのが現代な課題なわけで。昔はもっと色々あってんなってのを思わされました。
結局のところ、幽霊たちもジャックに売春行為をしていいよってそそのかされた気もするんですよね。もちろん勧められたからやっていいなんてことは絶対ないけど、そういった意味では、被害者という一面も少しはあるのではないのかなと思いました。それと、前述の通り、社会構造の一部としての加害者のように感じました。


ジョンはめっちゃええやつ。
たしかにエロイーズはめっちゃ美人だけど、あんなにめちゃくちゃされても、好きでいれるって本当にエロイーズのこと好きなんだろな。めっちゃカッコいい。ほんまに真似したいぐらい。あんな心が傷ついてる女の子からしたら、白馬の王子様に見えるんやろな。ほんとええやつやったな。


僕が賛否分かれるなって思った理由はいくつかあります。
1つは、ストーリーの詰めの甘さにあると思います。大きなのは、怪しげなおじさんをジャックとミスリードさせるシーンがあんまりないのにジャックだと思わせていたり、ルームメイトとお母さんの扱いとか、力の所以とか、あとカーナビ通りに何があったのかとか。なんか時間的に削ったみたいな欠け方が多いなって感じがしました。
もう1つは、ホラー感があんまりなかったことです。なんかもっとゴースト的な怖さを考えていたんですけどあんまり怖くなくて、もっと人間的な怖さにフォーカスしていたのでその辺りで賛否が分かれたんじゃないのかなって思います。


最初にも言ったけど、僕はすごい好きでした。お洒落だし、音楽もいいし、結末が最後まで予想できないし、二人が最後対峙するのもよかったな。でも、最後はエロイーズの良き幽霊として残るっていう。エロイーズの中で悪として完結してないのもまた良かったし、なんかとりあえず最後は鳥肌立ちっぱなしでした。
楽しかったです!!!
yuma

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