カラン

ラストナイト・イン・ソーホーのカランのレビュー・感想・評価

3.5
オールディーズかけながら幻視っていうのはディヴィッド・リンチ御大のオハコなのだが、本作では最初の30分くらいは夢があっていいなと。幻視は映画のアポリアだし、それこそが映画の夢でしょ。もったいぶる必要はないのだけれど、幻視体験の量に比して、ストーリーやそれを支えるさまざまが段々とネタ切れになってきたところで、しょぼいゴーストに逃げちゃうからね、余計にいつまでやるんだろうと感じる始末で、だらたら終幕へ。

幻視の鏡像は良いショット。だけども、幻視の究極はゴーストであり、そっちをしくじったら、若い女の子がきゃーきゃーしてるだけでしょうな。filmarksの人がティーンズが対象なのだと言っていた。その通りかも。で、ティーンズはディヴィッド・リンチは好きじゃないと。

冒頭。流動的なショットで、しゃっとカットして、また繋がっていく。車で出発して、前に進行したところで手を振るために後ろを向くと、リアウィンドウ越しに幻視とかね。いいよね。気持ちいい。

何より、サンディがエロイーズと階段のミラーでダブりながら駆け降りたさきのホールの広がりを捉えるべく回転するカメラと、ボーカルでありながら試聴室をいっぱいに満たしていく躍動するホールド感は、カメラとサウンドのダイナミックな融合の賜物で、こりゃあ凄えのが始まるのかとわくわくした。『ブラックスワン』を超えてるなあって、この最初のビストロのネオン→夢遊→ホールの場面では感じた。が、前述のように失速する。この後は繰り返しになるから。

サンディ役のアニャ・テイラー=ジョイって、カッコいいですな。覚えておきます。



レンタル用Blu-rayディスクは、5.1chマルチチャンネルサラウンド。最近のホラー系はみんな音がいいし、それでもたせてる節もある。本作も、、、(^^)
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