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ラストナイト・イン・ソーホーのmalのレビュー・感想・評価

3.0
『ベイビー・ドライバー』以降、よくもわるくもスタイリッシュな映画を撮るようになりましたエドガー・ライト監督。今回も音楽や雰囲気、カメラワークがとってもいい!ただただ画面を見てるだけでも飽きない。そしてヒロイン2人がすごい可愛い!特にエロイーズ役のトーマシン・マッケンジーは次世代のスーパースターになると思います!キュートさがすごい。それでありがなら終盤の疲れ切った、俗に言うメンヘラっぽい顔もよく似合う。
一方で作品のテーマ性は際立っているもののお話自体はひねりがあまりない。 性差別や搾取を描いている割にテンプレキャラがそのままいたり、伏線のためだけにいる可哀想な存在がいたり、多様性とか深みとかそういうものとは離れてる印象。あと性暴力シーンや殺傷シーンが生々しいので無理な人は見ないほうが無難だと思いました。
夢の影には散った人やそれを利用され無残に、尊厳を虐げられた人もいっぱいいる。だからそこから生まれた文化をまったく否定することが倫理的なのかもしれないですが…。酷いことをした人あるいは犯罪者が生み出したカルチャーを楽しむのは罪悪なのか、自分の中で結局その答えは出そうにないです。事件を通してエロイーズが大好きな60年代カルチャーをどう扱ったのか、これがこの問題に対するひとつの答えでしょうが、これも絶対的なものではないでしょう。
楽しく、安全だと思っていたものがどんどん現実を侵食していくのは怖い。最初は嬉しい 出来事だったものが「もしかしてこれ危険だったり?」と感じられるようになる展開はよかった。その点、傷のところとかすごくいい演出。
もうそちらへ帰って来なそうな気はしますが、『ホット・ファズ』や『ショーン・オブ・ザ・デッド』のようなボンクラコメディがまた見たいものです。
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