ルサチマ

マイムレッスンのルサチマのレビュー・感想・評価

マイムレッスン(2006年製作の映画)
3.6
冒頭で大道芸人の顔のメイクを捉えた鏡が映されることから、今作では現在にも繋がる鏡のモチーフが随所に現れる。そして、個人的には鏡に手を触れるというパントマイムの練習をするレッスン場で、大道芸人のマイムからカメラがパンするとレッスン上の窓にマイムの光景が反射して、あたかもそこに鏡が実在するかのようなマイムが成立するという描写はなかなか憎い。これは今に至る三宅作品史上最も美しく機能している印象さえある。
今作では他にも現代でも続く踏切のロケーションが印象的に捉えられていたり、その後の三宅唱を予告するような小品に思える。

とはいえ、マイムの延長線上で起こる大道芸人同志の相手のモノマネをした会話のやりとりなど、芝居の演出がやや図式的であり、そこでなされるカット割もまたかなり図式的に細かく割られている気がして、全体を通しては良いとは思えない。むしろ全体としては下手くそながら『4』の方が好き。
ちなみにヒロインの女は『4』から引き続き同じ方だが、彼女の顔立ちは中々目を惹くものの、周りのキャストはちょっと顔つきも声のキメもあまり映画として魅力的ではないように思えた。
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