ヒロさん

モービウスのヒロさんのネタバレレビュー・内容・結末

モービウス(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

『モービウス』は"クオリティの高いB級ホラー"みたいな映画。或いは"B級映画版バットマン"とでも言おうか。
個人的にホラーテイストの強い古典的なダークヒーロー映画として最後までハラハラドキドキで楽しめたのだが、近年、ユニークなヒーロー映画が増えている中では地味な作品となったのは確かだ。アメコミ映画があまり世間に認知されていなかったサム・ライミ版スパイダーマンの時代であれば評価は変わったかもしれないが、特に目新しさのない保守的な作品に仕上がっている。
ヒーロー映画なのに序盤から訳も分からず人が死にまくるのがツッコミ処で難点。いや、そもそもヒーローなのかヴィランなのか区別が着くかも怪しい…。結局、彼はせっかく手に入れた能力を制御出来ずに、何がしたかったのかよく分からないまま物語は幕を閉じていく始末。恐らく、彼の残忍性や強さを表したかったのだろうと思うが、目的が不明確でただ暴れているだけでは薄っぺらい低欲でジャンキーな映画だと見られるのは当然だろう。
そして何より『スパイダーマン』や『アイアンマン』で描かれていた人としての成長が描かれていないところがこの映画をより薄っぺらく見せているのかも知れない。要は、モービウスというキャラクターを認知してもらうキャラクター映画にしか過ぎない。普段アメコミ映画をあまり見ない人への共感を得るのが難しい作品かもしれない。
ラストには『スパイダーマン・ホームカミング』のヴィラン、ヴァルチャーの登場、マルチバースを思わせるような演出が含まれているのはサービス精神のある嬉しい演出だ。そのことを考えると今後、『マーベル・シネマティック・ユニバース』、『ソニーズ・スパイダーマンズ・ユニバース』との合流が考えられ期待が高まる。
単独作品としての批評家からの評判はmarvel作品史上で類も見ない低さではあるものの、本作は『モービウス』というキャラクターを知ってもらうきっかけの作品であり、今後のユニバース化に向けた"咬ませ犬役"になっているのかもしれない…。
ヒロさん

ヒロさん