葛藤が浅い。
ヒーローとヴィランの違いは何か。
彼らは双子のような存在。
どちらもスーパーパワーを持ち、善・悪いずれに使うかの相違しかない。
特に本作は、同質のヴァンパイアなので違いはない。
主人公も悪人も人を殺すが、傭兵はクズだから構わないが、子育て中の看護婦は気の毒だという扱い。
命に違いはない。とても偽善的な感じがする。
主人公と悪との線引きが曖昧。
どちらも、同じようなことをしている。
悪の力が大きくないので魅力が乏しい。
やはり悪は強くないといけない。
能力だけではなく、幼馴染で生い立ちや余命の無い疾患持ちという所も同じ。
ヴァンパイアの副作用として、血を求めることへの倫理観が唯一違う。
そこしか違いがないのだから、もっとトコトン主人公は自分を抑え込まなければいけないと思う。
鉄の意志で、血液断ちをしないといけない。
そこが緩い。
ちょっと断食しただけで、すぐ耐えられず飲もうとする。
アカンアカン。それでは悪人と変わらない。
自ら地中に埋まって、即身成仏する覚悟でないと。
日本に来て、即身成仏を見習って欲しい。
意識がなくなり、死ぬ手前まで断食をすべき。
でないとヒーローの資質ではない。
例えば血液断ちをして死ぬ直前に、見かねた恋人が自分の首筋を噛ませる。
無意識に反射的に吸う。
それで恋人が死ねば、重い十字架を背負うことになる。
その位、主人公は追い込まないといけない。
そうしないと、力が互角なだけに悪人と同質になる。
本作では恋人的な女性への処理が、傭兵殺しと同じく偽善的。
主人公に責任がのっていない。
そこの部分を過保護にすると、緩くなるからイカンのだよ。
十字架が軽すぎる。イヤリング並みだ。
重い十字架を背負っていないと、不正を許さぬ動機が軽くなるのだ。
でも、この主人公は結局ダークサイドのキャラかも知れない。
だとしたら今度は悪人が気の毒だ。案外、友達思いの良い奴だったじゃないか。
曖昧な映画。