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ナイル殺人事件のYYamadaのレビュー・感想・評価

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
3.6
【ミステリー映画のススメ】
〈ジャンル定義への当てはめ〉
 ○: 作中の謎を推理
 ○: 超常現象なし

◆作品名:
ナイル殺人事件 (2022)
◆ミステリーの要素:
・豪華客船の搭乗客のアリバイを崩し、
 殺人犯を摘発する

〈本作の粗筋〉 eiga.comより抜粋
・エジプトのナイル川をめぐる豪華客船の中で、美しき大富豪の娘リネットが何者かに殺害される事件が発生。容疑者は彼女の結婚を祝うために集まった乗客全員だった。
・名探偵エルキュール・ポアロは「灰色の脳細胞」を働かせて事件の真相に迫っていくが、この事件がこれまで数々の難事件を解決してきたポアロの人生をも変えることになる…。

〈見処〉
①愛の数だけ秘密がある——
・『ナイル殺人事件』(原題: Death on the Nile)は、2022年に公開されたミステリー映画。
・容疑者は、結婚を祝うために集まった乗客全員…。豪華客船という密室で、誰が何のために殺したのか?——本作は「ミステリーの女王」アガサ・クリスティ自身が「旅行物ミステリーで史上最高傑作」と称した、1937年の原題同名小説を原作とした、1978年の映画版、2004年のテレビシリーズ版に続く3度目の映像化作品。2017年の『オリエント急行殺人事件』の正当な続編として描かれている。
・第94回アカデミー賞にて、半自伝的作品『ベルファスト』作品賞・監督賞はじめ7部門にノミネートされ、オスカー初受賞に期待が高まる「現代最注目のマルチプレイヤー」ケネス・ブラナーが、本作の監督・製作に加え、主人公の「世界一の名探偵」エルキュール・ポアロを演じている。
・また、共演は大富豪の新婦役に『ワンダーウーマン』のガル・ギャドット、その夫役に『君の名前で僕を呼んで』のアーミー・ハマーに加え、『ブラックパンサー』のレティーシャ・ライト、『アメリカン・ビューティー』のアネット・ベニングら豪華キャストが集結している。
・本作では、冒頭シーンを若き日のポアロ自身が1914年の第一次世界大戦に参加し、髭を携えるようになった経緯をえがくなど、前作より踏み込んで「人間ポアロ」を描いている。

②結び…本作の見処は?
◎:「1930年代を旅する」…。ギザのピラミッド、スフィンクス、ラムセス2世の巨像で有名なアブ・シンベル神殿、そして、ナイル川を下るミステリークルーズ…監督のケネス・ブラナーが「しばらくの間、実際に旅することが叶わない観客に、素晴らしいシネマチックな旅とエキゾチックなロケ地の映像美を楽しんでもらい、現実逃避してほしい」と語るように、没入感の高い映像が本作の魅力。
○: 船の外側から、船内を歩くガル・ギャドットを長尺で演出するなど、65mmワイドフィルム撮影の特性を生かしたシーンは前作よりも躍動感がある。
○: エレキギターとR&Bをバックにダンスをするガル・ガドットとアーミー・ハマー、そして遠くから見つめる新鋭エマ・マッキー。美男美女たちの愛と嫉妬と欲望にまみれた人間模様は、殺人事件よりも濃密に描かれている。
▲: 上映時間127分のなかで中弛みが少なく、前作よりも良作として仕上がっている。反面、前半部をエジプトの旅情にたっぷり費やしながら、終盤の「ポアロ劇場」は『名探偵コナン』ばりに詰め込み感あり、バランスが悪い。
▲:「全員が容疑者」なれど、 サスペンスやミステリー映画を多数鑑賞されている方には、おおよその結末は予見出来、推理ドラマとしては『オリエント急行殺人事件』に及ばない。
▲: 1978年版『ナイル殺人事件』のキャッチコピー「結末は決して話さないでください…」は、当時小学生が真似をするなど、大変印象深いものであったが、本作の日本版キャッチコピー「愛の数だけ秘密がある」は、真逆の立ち位置。ミステリー映画として、どうなのだろう??
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