舞台はナイル川に浮かぶクルーズ船。そこで開催される美しき大富豪の結婚パーティーで、欲と愛憎渦巻く殺人事件が起こる。
古典的名作ミステリーを現代の娯楽作品に巧みに昇華しており、総じて私は満足できた。
映像がとても豪華。CGを多用しているのが人によっては残念に思えるのかもしれないが、チープさは無くて良いと思った。
古典的名作なだけあって、トリックの質も高い。振り返ると、あれれ？と思う部分はいくつかあるが、大きな飛躍はなく、納得感がある。
予想を裏切る展開もあり、二転三転して楽しめた。
一方で、残念だった点もいくつか。
第一、時間配分が悪い。
前半で舞台設定やキャストの華やかさを前面に押し出すあまり、事件が起こるまでが長い。観客としては、そこで中弛みして飽きかける。
後半で謎解きパートへと入るのだが、それも唐突なので追いつきにくかったし、尺の問題からか駆け足になってしまっていたのも残念だった。
何より、後半が駆け足になっていたせいで、肝心の真相判明シーン、そしてその後の展開も唖然とするくらい唐突で、余韻を感じられなかったのが残念。
「愛」をテーマとしたミステリーを謳うなら、情緒的な深みや、哀愁を感じたいところであった。
察しの悪い私も、今回は犯人と動機の予想があたって良かった。
