あゆ

ナイル殺人事件のあゆのネタバレレビュー・内容・結末

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

78年版より登場人物に共感しやすくなってる。そういう現代の価値観に合わせて綺麗になった作品って観やすくてすごく好き。
ただぎょっとするような描写が淡々と出てくる古い映画や本もそれはそれで面白いので、なるべく残っていって欲しい。

映画の話に戻ると、今回はたぶん愛がテーマ。ポアロと亡き妻、ブークとロザリー、スカイラーとバワーズ、そして何よりサイモンとジャッキー。他にもアネットとブークの親子愛や、ウィンドルシャム医師からリネットへの片想いなどたくさん愛の描写がある。
そうそう、リネットは78年版だと周囲に誰も居ないまま死んでいったけど、今作だと好きと言ってくれる人も結構居たんよな。いとことか医者とか友人とかね。ただリネットはそれに気づかなかったので、ある意味78年版より可哀想かもしれない。
ガル・ガドットのリネットは魅力的でどこか無神経なところがあってでも憎みきれない。自由奔放に見えて裏では孤独に怯えている。そういう一人の人間としての描写が好き。
ジャッキーは彼女のそういう弱い所を見抜いてサイモンを当てがったのかもしれないし、無意識に自分のものを取っていく性質を利用したのかもしれない。最後の二人の会話から、ジャッキーからリネットへの複雑な愛憎も感じました。でも深くは語らないのが良いな。

あとブーク!!いや途中から嫌な予感はしてたんやけど、配役が結構変わってたから油断してたわ。そうよね、流れ的にブークがサロメの役割を引き受けるよね……。悲しい。ミステリにおける探偵の身内枠はなるべく生きてくれ。
あゆ

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