平田一

アーミー・オブ・ザ・デッドの平田一のネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

恐らく今年の顔と言っても過言ではないお方、ザック・スナイダー監督の完全オリジナル映画。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のデイヴ・バウティスタが主演で、脚本はスナイダーとジョビー・ハロルド(『アウェイク』『キング・アーサー』)、シェイ・ハッテン(『ジョン・ウィック パラベラム』)。ジャンルは今更語る必要ないけどゾンビムービーで、しかもスナイダー監督にとっては原点回帰作(監督デビューが名作『ゾンビ』のリメイク『ドーン・オブ・ザ・デッド』)。監督のことだからクレイジーな展開が炸裂するって思っていたら、とても真摯で、随所に小ネタが詰まってそうな作品でした。

話自体はゾンビまみれのラスベガスに入ります、お金奪って、逃げましょう!なとにかくシンプルプロットで、なので話にこれといった新鮮さはありませんw

けど劇中曲然り、何か意味を感じさせるところはやっぱり良いですね(調べなければならないけれど)。ゾンビサイドもアルファと呼ばれるゾンビを率いる群れのリーダー(ザ・ブライドとゼウス)、しかも動きは俊敏で、統率力も備えてる。ロメロで言うなら『ランド・オブ・ザ・デッド』の知能派ビッグ・ダディで、そこにカバネリ(「甲鉄城のカバネリ」におけるゾンビの名称)の俊敏さもプラスなとにかく厄介ゾンビ。修羅場を潜った人間じゃなきゃ即死必須の相手です。

このように王道と新機軸を織り込んで、一方でパーソナルな要素も絡めているところ、ロメロのゾンビ3部作を思い出させる結末と、DCの時とは違った演出になっていて、いつものド派手なスナイダーを期待している人からしたら、肩透かしを食らうかも。けれどボクは好きですね。

特に鍵師の男の人と、黒人(今これって言ってもいいんだっけ?)のコンビ間のやり取りが好きですね。鍵師の最後の男気なんか、マジかって思ったし。

ある種因果応報で、突き放した結末と、スナイダーの気持ちが滲んだような最後の"希望"。そこも中々興味深いし、自殺した娘さんのことも色々考えて、監督的には気持ちを前進させる意味合いがあるんでしょう。皮肉だけどそれが映画の深みを高めていたと思う。

けしてスナイダー監督のベストなわけではないけれど、あと何度か拝見したいと思った作品でしたね。

今度は曲の意味も調べて、再視聴したいな(前日譚やアニメシリーズもどう出るか楽しみです)。
平田一

平田一