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燃えよスーリヤ!!のBaadのレビュー・感想・評価

燃えよスーリヤ!!(2018年製作の映画)
4.0
海外での映画マニアの評価は高く、インドでも高評価なのに、なぜか日本のインド映画ファンには極端に低評価なこの映画ですが、同じ監督のNetflixでの新作にご贔屓のフマー・クレイシーさんが出ることと、RRRに大満足した反動であっさりしたインド映画を見たくなったことが重なり、見ました。

面白かった。当たりです。2015年以降のボリウッド映画では頭ひとつ抜けている感じがしました。
何より鬱陶しいことこの上ない最後の演説がないのがいいです。
欠点といえば最後の戦いがしょうもなくて、ルールがないにしてもルールがわからなすぎることぐらいなんですが、そもそもが主人公は名もなき庶民で難病や毒親が原因なのか将来の展望もなくウロウロしている二人。ラストがこれでもまあ納得なんじゃないかと思います。

系統としてはジャン・ピエール・ジュネとかウェス・アンダーソンの『犬が島』に近い線じゃないでしょうか。ファン層は映像や音へのこだわりが強そうだからそもそもインド映画は10分でアウトの人たちが多そうで、楽しめそうな人は多分見てないんじゃないかと思う。どっちかというとオシャレ映画ですね。

映像も結構高品質で主演のアビマーニュ・ダサーニーも良い。
一番のポイントはスーリヤの家庭環境かな?父親と祖父の子育てですが、結構理想的な線をついているんじゃないかと思いました。
スプリの状況も結構リアルで彼女の生き方もある層には一種の処方箋になるかも。

彼らのダメさをストレートに描写しているところにも好感が持てました。インド映画には珍しく登場人物が頑張りすぎてないのがいい。けれど地道にもがいているところもいい。それでいて技術水準が割とちゃんとしているのでとても見やすかったです。

オシャレ映画が好きで難しい子育てに悩んでいる方に特に効くと思いました。楽しめる人に届くといいな、この映画。

ただ、長さはこんなにいらないよね。10分ぐらい切ったらもっと楽しめたんじゃないかと思いました。こういう映画こそ、あったら国際版輸入して、ですね。
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