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主戦場のmalのレビュー・感想・評価

主戦場(2018年製作の映画)
3.0
面白いし、刺激的!それだけに注意が必要な作品だと思いました。ドキュメンタリーとはいえ、人の手が加わったものなので中立中道中庸が実践されるのは不可能。要するに誰が見てもフェアな作品はありえない。

製作者の立ち位置が左派的なものであることが、右派に対する「歴史修正主義者」という呼称から現れています。終盤になればなるほど立ち位置は顕著に表れていますね。ちゃんと数えてないですが出ているのは左派論者の方が多いですし、人選が悪いとの意見もあります。結局のところ、相互理解というより対立を煽ってる感じもしました。

それを置いといてエンターテイメントとしてみた場合確かに面白い。右派の主張に対してロジカルに喝破していく左派という構成で小気味よいし、二元論的な単純さはわかりやすい。作品中の発言だけで評価すればかなり首を傾げてしまう主張をしている方もちらほらいますし、バイアスも知識も持たずになんとなくこの映画を見ていたらほぼもれなく左派側の主張に同意するだろうな~。

この映画の主張を論理的な意味での真とするのがかなり怪しい一方で、なぜこの問題が解決ができないのか、その理解の一助にはなります。関係者それぞれの思惑、信念そして国の文化や思想が複雑に入り組んでいることが原因になっていることは間違いないでしょう。日韓両国とも譲れない立場であるのはわかります。自分がそれぞれの為政者ならそう言うしかないんじゃないかって気にもなる。タイムマシーンでもない限り、合意の取れる事実が明らかになることはないから、そうなるとロビー活動の強さと国際世論によって事実らしきものは決まっていくのかも。
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