Keigo

ニノチカのKeigoのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
3.9
エルンスト・ルビッチ監督作品は三作品目。ルビッチ監督ならこちらも!とのんchanさんからおすすめをいただきまして。

グレタ・ガルボ出演作品は『クリスチナ女王』に続いて二本目かな?今作で何より印象的なのはやっぱり、彼女の魅力が炸裂しているということ。キング・オブ・ツンデレ。こんなのみんな好きになっちゃうよなー。中々笑わない美人が笑うって、結局男が1番弱いシチュエーションではなかろうか。シャンパンを初めて飲んだ時のあの嬉しそうなうっとりした顔!男性達と並んで歩いても身長はそんなに変わらないのに、スタイルが良くて顔が小さい!あの帽子あんないい感じにかぶれる人いる?

冒頭ホテルのロビー。
どこかもっさりした男が荷物を抱えて入ってきたので支配人が声をかけると、料金を聞いたりなんだりしてすぐ出て行ってしまう。続いてもう1人、そしてまた1人。カメラがホテルの前を映すと、どうやらこの3人は仲間で、このホテルに泊まろうかと相談しているらしい。ソ連からパリにやってきた役人だと分かる。この登場シーンだけで、彼らの立場とどこか間抜けな雰囲気が端的に伝わってくる。彼らもそれぞれキャラ立ちしてていい味出してたなー。

レオンが3人組を懐柔しようと接待しているシーンでは、カメラは室内を映さず廊下から扉を撮っている。賑やかな声だけが聞こえていて、そこへ料理を運ぶボーイやメイド達が次々と入室することで、室内は派手にやっていることが分かる。よれた帽子はシルクハットへ。そんなスマートな映像での語り口が随所に感じられる。皮肉の効いた台詞や、詩的な情感のある台詞も散りばめられていて良い。

当時他国を揶揄するような内容のものがどの程度許容される空気感だったのかとか、亡命やらビザに関する温度感が分からないけど、全体的に結構攻めてる印象はあった。でも単純に社会主義を批判して資本主義を礼賛するでもなく、人間には愛が大切で、愛は止められず、主義主張は色々あるけどお互い理解を示して歩み寄るべし、というシンプルな主張にはなっていたのでこれでもマイルドにはなってるのかな。

ただひとつ、最後なんでレストランの看板の彼の名前だけ省かれることになってたのかが分からなかった…電球が切れてたとかそういう問題じゃないよね?それなら直せばいいしな。なんか見落としたかな。小洒落たオチだったのにいまいち意味が分からず無念…
Keigo

Keigo