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ニノチカのJunのレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
3.9
グレタ・ガルボの美しさと洒落たルビッチタッチのコメディが可笑しいロマンス映画。作品全体が楽しくも優しい雰囲気に包まれており、エッフェル塔や当時のパリの様子を観光さながらに眺めることができるのも良い。ニノチカと彼女を口説くレオンの掛け合いがとにかく面白いので、ラストが読めるだとか安易だとかそんな声が聞こえてきても私的には関係なし。こんなハッピーエンドなら大歓迎でしょう。
…と褒めちぎったまま筆を置いてもよいのだけれど、やはり触れずにはいられないのが時代背景に掛かる政治的な側面だろう。厳格な共産党員であるニノチカが自由奔放で資本主義を体現したかのようなレオンと恋に落ちる様からは、容易に当時の世界情勢が反映された寓意性が読み取れる。笑い飛ばしつつも共産主義が資本主義に屈するプロパガンダとしてひとたび目に映ると、素直に楽しみづらくなるのは致し方がないことだろうか。
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