佐藤克巳

東京の女性の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

東京の女性(1939年製作の映画)
4.0
原節子主演、丹羽文雄原作、伏水修監督の荒削りだが骨太の戦前キャリアウーマンの物語で、鈴木英夫監督、司葉子主演「その場所に女ありて」の様な衝撃的な秀作。父は失業の上交通事故で重症、自動車会社でタイピスト原は恋人立松晃の協力を得てセールスマンに転身、同部内セールス競争に鎬を削る。一方妹江波和子は、同社でちやほやされ原と対立するが立松と結婚、原は外車で二人のハネムーンの汽車を猛スピードで追走するが、高架を過ぎて吹っ切れた瞬間笑みを浮かべた。そのドライな雰囲気に加え、原節子のファッションと19歳とは思えない立ち振る舞いに、今や幻影と化した戦前東京の活況が見て取れる価値ある作品となった。
佐藤克巳

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