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いつくしみふかきのBigsのネタバレレビュー・内容・結末

いつくしみふかき(2019年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

申し訳ないけど、これは全く評価できない。

去年までミニシアターに通って、出来が良いとは言えない自主制作の邦画をちょこちょこ観てたので、この感じは懐かしい。
演出、演技、ストーリー、音楽等、何から何まで肌に合わず、どこから言えばいいのか困る。本作の突出した部分や、好みに合致した部分も掴めず、褒めるところがないというのが正直なところ。


冒頭15分くらい観たところで、セリフが全く止まないラジオドラマ的演出は観てて辟易した。その後もその傾向は変わらず。
全てセリフで説明するかのような説明台詞の応酬。安っぽいオーバーアクトによる動作と表情。
それを更に悪印象にするような扇情的な劇伴。
回想でストーリーを進めるのもテレビドラマっぽい。しかも同じ場面を複数回、回想で見せる親切仕様。
仰々しい演技でセリフを叫ぶのも観てられなかった。「この血、出てけ〜〜」とか、「このお方は◯◯さんだぞ〜」(←こちらはうろ覚え)とか、唖然とした。

あとストーリーも良いとは思えなかった。
時折挟まれる安いギャグ展開(下半身露出、妊娠詐欺からの警察に見つかる、教会での偽説教からの金巻き上げ)は、明らかにメインのシリアスなストーリーと相性が悪い。こんなの見せられたら、とてもじゃないけど、この後のやりとりは真面目に受け取れず、はっきり言ってどうでもよくなってくる。
メインのストーリーも進一がどうして父を許したのか理解に苦しむ。また父はわざわざ不動産を何年も借りていたのは何故か。なんかごく一般的な親子の情以外に理由はないような気がして物語的な厚みがなく、つまらなく感じてしまった。
細かいこと言ったらいちいち気になる。村を追い出した後の母と牧師、進一の関係とか。
牧師はなぜ父・広志と進一を共同生活させたのか。割とすぐにお互い親子だということがわかってしまっていたので、二人を出会わせるだけであまり意味がある展開に思えなかった。しかも、二人が親子だとわかったときの反応もすごく淡白な処理だった。
親子だと知らずに、他人だと思ってフラットに関係を始めて交流を経た後、親子だとバレて展開していくのかと思った。その方が物語的には面白いようにも思うけど、あえてそっちに行かなかったのはなぜなのか。

画的には、はじめに進一が全裸で川を泳ぐカットは良かったかな。


余談だが、
大山監督が立ち上げた劇団チキンハートが企画し、本作にも出演している榎本桜さんが監督した『宝物の抱きかた』は本作のテレビドラマ的演出とは真反対のアプローチ、つまり画で語りリアリティを大事にした演出で、こちらの方が好みだった。
『宝物の抱きかた』のときは遠山雄さんもすごく魅力的な役者さんだと思った。
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