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女の仕事のimaponのレビュー・感想・評価

女の仕事(2022年製作の映画)
4.2
開巻、エログロ漫画家のファン、加藤絵莉がいかに大野(品田誠)のエログロマンガで興奮するかを語る。その後も、大野がティッシュ配りの仲間と「ティッシュ配りとピンサロの親和性」を語ったり、接近してきたチサ(長谷川千紗)とシャワーを浴びながら静かに起承転結講義をしたり、とにかく会話の面白さが際立ち、そういう展開で進む作品なのかなと思っていると、長谷川千沙の銃声一発でガラリと変わる。それ以降は会話勝負の側面が薄れていく。まさに起承転結の承なのか、転なのか。

裏のある女を演じる長谷川千紗が最初と最後で感情が変化していくのだが、変化前も変化後も、ちょっと変なキャラで、なんともかーいーのだ。長谷川千紗の処女演技も見所です、しかも初体験のみならず2回目との微妙な違い。
社会派のプロットの中で描かれるラブストーリーがとても良い。
社会派といっても登場人物は、言論の自由や政府の暴走に抗うわけでなく、ただただ翻弄され、その世界に身を任せる。
本作でもっとも批判的精神が現れるのは冒頭の「この作品はあくまでフィクションで・・・こんな事はありえません」のナレーションではないだろうか。

新作映画だと思っていたが、制作されたのは5年前との事。随分公開まで時間を要してしまったわけだが、5年なんて年寄りから見たらついこのあいだだけれど、確実に世間は変化して(どうやら悪い方へと・・・)いて、5年前より今、2023年に見る方がエグい気がする。上映後登壇された高橋洋さんもおっしゃっていたが、確かに5年前と今ではAIに関する我々の持つイメージも随分違ってきてるよね。
そもそも「女の仕事」というタイトルから受ける印象も、5年のうちに変わってるだろう。

面白かった。
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