エブリデイねむろう

ほんとにあった!呪いのビデオ 81のエブリデイねむろうのレビュー・感想・評価

3.5
投稿されてきたという心霊映像を検証・紹介する心霊ドキュメンタリー。
「ほんとにあった!呪いのビデオ」(以下ほん呪)第81弾。
演出・構成:KANEDA

「ブラックバイト」

タイトルテキストがでかくなっている。
これは視聴されるメディアがテレビからスマートフォンへと移行しており、スマホの小さな画面でも視聴できるよう配慮されたものと思われる。
事象は、網のうえで人間の頭部が焼かれている。
ちょっとスープのなかに変な人間の頭入ってたんですけどー、とでも言うのだろうか。

「覗く女」

これいいなぁ。
エレベーターで見切れた女。
軽薄そうな大学生たちが
「女いたべ?」
「マジかよ行くっぺ行くっぺ!」
というノリで探しまわる。
彼らと同じ感覚を視聴者とシェアしつつ不意打ちポン。
心霊映像の教科書といえる。

「YouTuber」

同じような現象をとらえた映像五連発。
まずは「さおまおチャンネル」。
検索したけど出てこなかったな。
もう引退した、とでも言うのだろうか。
現象は、人形に白い布をかけたやつが立っている。
2回目のインタビューで右うしろからこっちを見てたロン毛のおっさんがこわかった。

「オバケ」

白い布をかぶった不審者が夜の公園をうろついている。
まずは警察に対応してもらうが吉かと。

「オバケ2」

こりゃなんの映像だ?
アイドルの立つ立入禁止エリアで撮影していることから関係者と思われるが、これはなにを撮影していたのだろうか。
映像は、盛り上がるファンの背後に白い布がたたずんでいる。
やばい盗撮とかしてんじゃないの。

「ノイズ」

「オバケ2」と同じ地下アイドルKIKAのライブ映像。
口パクであることを容赦なくバラしていく製作委員会。
その口パク用音源に謎のノイズが入っていたというが、よく聞こえず。
というか白い布関係ないやん!

「シリーズ監視カメラ 301号室」

空き部屋から物音がするという苦情が来たため、音の原因を探るべく定点で撮影された映像。
ふすまがガタガタ揺れてますね。
監督が変わったためかスタッフが総入れ替えになっている模様。
おい、エリクサー大塚どこいった。
あいつの映像のつづき早くやれよ。

さて、「ノイズ」と「301号室」に入ったノイズがよく似ているとのこと。
フリーライター、オカルト研究者兼霊能者に映像を見てもらい見解を語ってもらうという近年の「ほん呪」には久しくみられなかったスタイルが取り入れられている。
こういうの好きだけど、Google検索には虚無しかない。

「気づいて」

映像に映りこむ奇妙なスーツの男性。
投稿者の彼氏がなにか慌てたような様子でデートをすっぽかしはじめる。
その先にあったものは…。
こういうの、怪談ではよくあるテーマだけどこういうかたちでの映像化ってのは今までなかったなそういえば。

「物置小屋」

恐怖映像としては及第点だけど、刃物まで持ってるのはやりすぎでは。

「301号室・2」

投稿されてきた映像が不思議な線でつながりはじめるなか、「さおまおチャンネル」の二人からも不思議なつながりが発覚する。
そんななか、例の301号室で新たな現象が記録された映像が送られてくる。
更には、投稿映像の中身が変化してしまっているというのだが…。

ということで、どこまでも愚直なドキュメンタリーをやろうとしている本作。
前回までの川居シリーズで特に顕著だったが、スタッフに強烈な個性を与えることでちがったエンターテイメントのかたちを目指そうとしていたほん呪。
それはある意味"白石晃士的"な調理法ではあるのだが、少なくともリアルドキュメンタリーとして売っている「ほん呪フォーマット」のなかでやるには無茶がすぎるところがある。

そんななか、シリーズ初期を思わせる80年代90年代の心霊ドキュメンタリーを復活させたかのような本作の構成は、わたしは素直に楽しかった。
某フリーライターや某霊能者のシーンでの「あーこれこれこの感じ!」という胸の高鳴り。
これが恋である、とでも言うのだろうか。

しかし、最後の映像がダメだ。
なんだあの完全なつくりもの映像は。
心霊ビデオってのは怖けりゃなんでもいいわけじゃない。
わしのときめきを返してくれ。

2023ー旧067