むっしゅたいやき

地上の輝きのむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

地上の輝き(1969年製作の映画)
4.5
センチメンタリズムの権化、ギイ・ジル監督作品。
シャンソンに乗って、孤独と亡き人への想い、出自、そして自分への邂逅を求めて旅へ出る。
そんな物語である。

ギイ・ジルの作品は、時間と云う意味でも登場人物の情動と云う意味に於いても、行間が抜けている。
カット割りは多いのだがシーン間の繋ぎが多くは無く、劇伴は一貫しているのに画が飛躍するので慣れないと中々理解し辛い。
ただ、慣れてしまえばこれは想像の余地が大きく中々クセになる構成でもある。
本作はこの構成が存分に奏功しており、パリ~チュニス間と云う移動距離、主人公の両地での情動が間延びせずに収められている。

物語は在り来たりな「自分探しの旅」系かと思っていたら、ラスト近くで手も無く捻られる。
スマホを置いて故郷へ旅に出たくなる、何とも感傷的な作品である。
むっしゅたいやき

むっしゅたいやき