パリの日常のすべてに冷めている青年が、死んだ母親の記憶を求めて生まれ故郷のチュニジアに旅する様子を描いた、ギィ・ジル監督のドラマ映画。
ストーリーはほぼ語られないままに短いショットの連続で主人公の青年を映し続ける映像は、まさに「遅れてやってきたヌーヴェル・ヴァーグ」と形容するしかない作品である。個人的には、主人公の感じが生理的に受け付けないタイプということもあってあまり好きな映画ではなかったが、チュニジアのサニィな映像と主人公の感傷的な表情のコントラストは、ラストの唐突さとともに、印象に残る。アニー・ジラルドが演じる女性が主人公とどんな関係なのかが気になった。