くにぽよ

ミッドサマーのくにぽよのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

 
「家族と恋愛を描いた映画。いま生きるのが辛くて苦しんでる人にこそ見て欲しい」
↑監督の言葉。こマ?そしてこの映画はホラーではない と 言っていたが、ダニーの心の解放を描くストーリーとして見ればそうかもしれない。監督の不幸な出来事からこの映画が生まれたのだから監督がその目線でそう言うのも納得。

でもまあ……ホラーやろ。
登場人物たちはホルガ村で住人たちから意図的に恐怖やショックを与えられているわけではなく、ただそこでの当たり前の文化に触れているだけ。これは自分が好きなホラー作品の超加点ポイントのひとつ、「何かわからない」という要素を強く持っていて、村に行ってから登場人物も視聴している自分も終始なぜこんなことが行われているか理解不能、次に誰が何をして何がどうなるのか予測不可能で緊張感と不安、そして恐怖を煽りまくってくる。
ルーン文字や数字の9が多く関わってくる「しきたり」、そして人生を巡る季節に例え、北欧神話・ヴァイキングをモチーフにした儀式など、劇中で細かな説明はされないがしっかりと意味を持ったものであろうというモノがこれでもかと目に入ってくる。シナリオを裏付ける伏線になっていたり、全く知らない村の文化に何故かリアリティを感じられたりしてあらゆる方面で隙がなく練られていると感じた。

と、思うやん?
いや、それはそうで間違いないんだけど。
いろいろ考えてるとやっぱこの村クッソうさんくさい。マジでうさんくさいのよね。
見たあとに思い返したり、二回目以降の視聴で改めて感じたことだけど……
まずペレ。こいつは登場からダニーにかける優しい言葉も全部うさんくさい。言葉の含みもしゃらくせえ。最初から全部こいつに踊らされてる気がすると言っても過言ではない。(映画の最後にペレが讃えられるシーンも全く劇的ではなかったのめっちゃ怖かった)
ほんでルビン。近親相姦を避けているとか言ってた癖に意図的に障害のある子供を作り、ルビ・ラダーとかいう意味不明な聖書を書かせる。はいうさんくさい。聖書の内容も絶対理解できないし勝手に都合よく考えてるやろ。
あと特にヤバ!って思ったのがアッテストゥパン後に取り乱したサイモン達を族長?おばさんがなだめるシーン。はいここヤバすぎ。普通は「これが神聖な儀式だ!文句言うな!」とか「お前たちはわかってない!」と怒鳴り返しそうなところを「いや、ちゃうねん。こうこうこうでこんな理由あんねん。だからこんなんやってんねん」ってなだめるの。はいうさんくさい。ホルガ村の住人が異文化を知らず、儀式を否定されて怒るならめっちゃわかるが明らかに自分たちホルガ族はマーク達と文化が違うと理解している。だから怒らず説明してなだめる。怖すぎ。冷静になって気付いたときマジでゾッとした。
衣装についてジョシュにインドの神話にも似たようなのあるって指摘されるシーンとかね。あとはまあ当たり前のようにヤクやってるし……最後の痛み消しのくだりでわざとうさんくささの素みたいな要素提供してくるのお洒落すぎ。
まだまだうさんくさいところあるけど、ペレの発言や族長?っぽいおばさんの異文化に対する理解など、冷静に考えれば違和感ありまくり、そして恐ろしすぎて寒気がするシーンだったがそれよりも村で行われている出来事に対する不安と恐怖が勝り認識をズラされる。これはダニーたちもそうだったはず。(登場人物と恐怖以外の感情をシンクロできるのは見事)
ここが本当に凄いと思った。次から次へと意味不明な催しが始まって冷静になれない。ただただ目の前で起こる事が理解できない、これからどうなってしまうのかわからないという不安。これが「恐怖」の真髄だと改めて実感できた。

じゃあ結局ホルガ村ってなんなんだと。
たま~にこれについていろいろ考えてて、最近ひとつ思ったのはホルガは神秘的な伝統を守る一族とかじゃなく自己を放棄したい連中が集まって始めた超カルト集団で、個を放棄してひとつの集合体のように生きることで苦しみや悲しみを共有させて不安を消そうやって団体なのかもしれん……とか。
もし仮にそうであってもなくてでも、ホルガ族の在り方は心の放棄に近く感じるし、自分だけの悲しみや苦しみ、喜びがあるからこそ他人との繋がりが特別なものになると思うなあ。そういう意味でもこわいなあ。こわいなあ。
 
めちゃくちゃ長く書いてしまったけどまだまだ語りたいことたくさんある。
とりあえず
まあ

スコォォォォォォォォォォルルゥ
ホッw


あと、
アッテストゥパン直前で女の子が突然こっち(視聴者)に振り向いて「待たせたな、はじめんぞ」と言わんばかりの視線を送ってくるシーン、7億点。
くにぽよ

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