apapatti

ミッドサマーのapapattiのネタバレレビュー・内容・結末

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

ウルトラ胸糞ミルフィーユっすな・・・
いや、でもめちゃよくできてるなと改めて関心した

なんかこう、ネタバレを忌避するノリがあるなともおもってたけど、
内容的にはまあ語るに語れないというのと、
ちょっと事前知識を入れてしまうと、作りこまれた倒錯への世界観没入がうまくできなくなってしまうだろうことが容易に想像できるからだろう

結構ジャパニーズホラーというか、ドメスティックな漫画とかだとときどき扱われるような、未知の民俗学による逸脱した倫理感というテーマ自体は、ありふれてるとは言わないまでも、少々予想のつくものではある。

裏サンデーとかで連載落ちした「辱 ―断罪―」とか、梅津和夫的な世界観では結構扱われてるものではあるかなと。別に人食い部族みたいなビビッドな扱いでなくても、魂を浄化する儀式として、供物をささげるってのはある。

ただこの映画の巧妙なのは、その臭みがマジでないのだ。
日常パートである導入でめちゃくちゃこまかいストレスを積み重ねて積み重ねて、見る側をミスディレクションしつつ、祝祭の異常性のくさみを消している。
カップルの行き違いだとか、研究テーマの手柄の取り合いだとか、マジで些細な行き違いが延々と繰り返され、見る側がすげー嫌な気分にさせられてるのである。

大雑把なアメリカどこいったの。いや、まあなんかこう、めちゃめちゃステレオタイプな男と女の行き違いではあるんだけど、なんか一応女側もメンヘラだけど変な奥ゆかしさ見せたりして、脳がバグる。いや譲るなら最初から言うなよ、変に気遣い見せるなら決めろよみたいなこう、ずーっと京都人みたいなラリーが延々と続くのである。

なのでスウェーデンに行く行かないの諍いも相まって、この話どこに行くのかなとイライラしながら見る羽目になるんだけど、72歳以上は?の問と命を回すところらへんまでは、なんというかこう、グループの男性が騒いでるからかまだ変だ、ってとこで見てる側も想像が止まるんですよね。倫理では測れなくても、まあそういう考え方はありそうだな、それが民俗学だものって思うにとどまってたんすよ。ストーリーがどこに向かおうとしてるのかわからない状態。ここがマジで巧妙だったと思う。
この時点で少なくとも僕は迷い込んだ人を供物にするっていうストーリーを想起しなかった。

そのあとも延々となんかしょうもないケンカしてるんですよね。論文の手柄とかで。

女は女でそのあとなんで招待したの?つって。いや、そうなのよ。僕の両親は炎で焼かれて死んだ、だから君の気持ちがわかる、僕たちは家族だ、君が必要だ、みたいな話の流れであー供物っちゃんねってならなかったんだよな。

ほんで特に説明なく女が祭りに組み込まれてるところらへんから、ん?ってなり始める。なんでルールも意図も説明なしでいきなり外部の人間が伝統芸能に組み込まれるんだ?っていう、違和感は感じた。

ほんで輪郭がぐにゃぐにゃしてる効果でこれはまあかなり意図的な、ホルガの文脈に取り込まれてるってことなのね、ってのを理解し始める。
そっからはもうなし崩し的にホルガの供物になってくわけなのだけど。
この輪郭効果ってお金かかるのかな。なんかすごいよね。

後から考えれば優勝もこれ出来レースなのか。なるほど。

ほんでやっぱお前が呼んでくる役だったのね、が分かり、
外部の血を入れるってそういう感じなのね、が分かり、
女がげろ吐きながら泣いてるときに周りに女性がベターっとついて感情を同調させてしまうところらへんで、同質性というか家族ってこういうことね、がわかり、

まあ最後はやっぱ燃やすよね~ってのがわかり、という怒涛の伏線回収となるわけです。

ラストシーン、ホルガというコミュニティをいっこの生命体として自分たちをとらえている分、感情は創作されるもの、儀式的なもの、っていうのがすごいよく出てますよね。
最後みんなワ~~っていいながら悲しがってるコンテンポラリーダンスみたいなのしてるけどこれほんまに悲しいんかっていう。

いや、これがなんか山奥で着物で、夜中住人がコソコソ話してるのを目撃するのが伏線、みたいなノリだったら一発でわかるんですよ。あ~供物にしたいのね~みたいな。(いや、なんか絶対自分の中で何か先例があるな。ちょっと作品名が出てこないのが悔しい)

画の力がマジでその辺の臭みを消してる。
あとギリギリマジでありそうなんだよな…。

90年に1回で人里離れてたら、なんかギリいけそうなのである。
日本だったら地政学的に嘘ってわかっちゃうじゃないすか。狭いし。
舞台は奥飛騨の山奥…!って言われてもいやそんなわけないだろってなるじゃないすか。さすがに日本に流星街はなくない?(えっ・・・?そんなことないって可能性も・・・ある・・・?そりゃゼロではないが・・・それはもはや陰謀論とか都市伝説の部類な気がするけどな…)

スウェーデンの民族衣装でーすって言われたら無理だって。
戸籍の管理とかしてない土地があるとか言われても全然想像できないもん。あー海外には戸籍ない人がいるんだ~流星街みたいだね~って。

いや、中国にはいるのか。へいはいずだっけ。
黒孩子だった。戸籍のない子供。地味に海外だったら別に人死にがあっても把握できないっていう状況は許容しうるってことをどっかで認識してたのか・・・?

トレーラーも見たけど、なんかスリラーホラー的な文脈なんすねこれ。
ホラーって言っちゃっていいのかな・・・でもまあホラーなのか。
ジャンル自体がネタバレじゃない?大丈夫?みたいな変な心配をしつつ、黙って進めてくれたはる氏に感謝である。

めちゃめちゃすごいけど好きじゃないしお勧めできないけど
見た人とは語りてぇ~みたいなすごい今までにない位置づけの映画ですね・・・。なんだこれ・・・。
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