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ミッドサマーのNMのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
3.5
ホラーでありスリラー。かなり怖い。グロシーン自体も怖いしその前後も。結末が一番怖い。が、もちろん面白い。
ほかにも、急に化け物が現れて怖がらせるとかいう手法ではなく、よくわからなくてすごく怖い、というシーンが多かった。


大学生のダニー。
精神を患っていることもあり、彼氏のクリスチャンにすぐ頼ってしまう。
そのせいでクリスチャンのスマホは鳴りっぱなしなので、友人のマークはちょっと彼女おかしいぞと諭すが、クリスチャンはいつも優しい。

ある日ダニーの家族が心中を図ってしまい、彼女は一人になってしまう。
ますます不安定になるが、なんとか頑張らないと、他人に頼らないようにしないと、と必死に我慢を続ける。

クリスチャンの友人であるペレは物腰が柔らかくダニーを気遣ってくれる。
彼も両親を亡くしていて、ダニーには親近感を持っていると優しく語りかける。

そのペレの故郷で夏至祭があるそうで、一同で旅行へ出かけることになった。
ペレは伝統的な共同体の出身。そこはかなり閉ざされた場所で、いまも昔からの生活を続けているらしい。

ダニー、クリスチャン、マーク、ジョシュ、ペレでスウェーデンに飛ぶ。
祝祭は9日間。今年は90年ぶりの大祝祭。
他に、旅行中に村人と知り合ってここへ来ることになったという男女三人組もいた。

みな白い祭服を着て、頭に花飾りをかぶっていた。ペレの連れなのでとても歓迎される。
ただペレ以外はスウェーデン語をを話せない。
ここは白夜のせいで深夜以外はずっと眩しいまま。もう今が何時なのか、今日がいつなのかあやふやになってしまう。よく眠れない。

夢でも見ているようで、なんともいえず何かが不気味。
それがダニーの不安のせいなのか超常現象なのかまじないなのか見分けがつかないまま話が進んでいく。
暗くて怖い映画は多いが、これは明るすぎて怖い。

ペレ以外は言葉が分からないので、参加していても具体的に何の儀式なのかよくわからない。
周りの動きを見て何となく合わせるジョシュたち。大事な儀式なのだろうからじゃまするわけにいかない。おどおどしてずっと気を張り続ける。
ペレは、一行を落ち着かせるようなことは後から言うが、細かい説明を全然しない。
にこにこしたり謝ったりするだけ。

説明がないので自分で補って、いやまあここではこういうことなのかもしれないし、とその場をごまかして過ごす者。こんなの絶対におかしいよと抗議する者。

一行は度々戸惑いトラブルも起き、そして二日目の儀式はあまりにも恐ろしい光景であった。
それを見たダニーはパニックになるが、ペレが親密に慰め、さらにクリスチャンは本当に頼りになるのかと問う。

ペレは、事前に説明しなくてごめん、と語るが、これを説明しないで見せるなんて明らかにおかしい。よりによって両親を亡くしたばかりのダニーに。
しかしペレのことは信用していたこともありなんとなくごまかされてしまうダニー。

もう一組いた旅行者たちは恐ろしい儀式を見てもう村を出ていくことを決めたようだ。

クリスチャンと友人ジョシュは、ショックは受けつつも全く未知で刺激的な文化に興味を持ち、ここで論文を書くため残ることにした。族長からは名前と場所は秘密にするよう念を押された。

二日目で早速ショッキングな儀式を見ても残った一行はその後どんどんこの不可思議なイベントに耐性がついていったのだろうか。

一行は村人が薦めてくることやものを殆ど断らない。
言葉の通じない状況で相手の気分を害さず勧めを遠慮するというのは予想以上に難しいのだろう。

気付くと、逃げ出した者も残った者も一人また一人と姿を消している。彼らはどこへ。
最後はダニーとクリスチャン、そしてペレだけに。

娘たちだけでぐるぐる踊る儀式。「競争よ」とだけ聞かされ、ダニーも現地の服を着せてもらい参加。
すると最後の一人になるまで踊れたダニーは「女王」になったらしい。
ダニーは困惑するが、村人たちは満足な様子。

一方その頃彼氏のクリスチャンは、一人の娘に好かれ、気味の悪いまじないもかけられふらふらになり、更に何かを嗅がされ目がガンギマってしまう。ついていくとその娘たちが裸で待っており、わけのわからないままセックス。
終わると、クリスチャンは我に帰り思わず裸で逃げ出す。
そして逃げ回った先で、消えた友人二人がどうなったかを見つけてしまう。

捉えられ、女王ことダニーの前に連れてこられる。ダニーの体は花で埋め尽くされダルマ状態。

共同体と外部の者ダニーのどちらを最後の生贄に選ぶか女王が決めてくださいと迫られる。
この状況で女王が選べるのはもう実質一人のみだった。
彼女は新しい家族を得、もう寂しくない人生を送るのだろう。

最初からずっと主人公ダニーの精神の不安定さが描かれていたわけが最後に納得。この結末に至るには健康で独立した人間ではだめだった。ペレは正しい人物を選んだ。
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