ゆのき

ミッドサマーのゆのきのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
近代や西洋文明とはかけ離れた古代北欧で受け継がれてきた宗教観。

リアルの話でこのような宗教や伝統があるのかないのかはあまり自分には関心はなくて、主人公のダニーが長年苦しめられてきた家族の死と精神的苦痛を解放したのがパートナーのクリスチャンではなく古代文明であり、近代キリスト教文明のアメリカ人が通常受け入れられないであろう古代の宗教であったのが面白いなと。

20世紀から21世紀にかけてアメリカは膨張し、ソ連崩壊後は名実共に世界のトップに君臨した。

しかし、その中で生まれたネオリベラリズム。
いわゆる新自由主義的思想がアメリカ的価値観を世界に広めることが責務であり、異教徒は力でねじ伏せて構わないという傲慢にたどり着いた。
(アフガニスタン紛争やイラク戦争)

そういった価値観へのアンチテーゼのようにも感じた。

ダニーの最後の笑顔はそういった半抑圧的にアメリカナイズされた価値観からの解放であったような気がする。

宗教的な教育を受けていない日本人には少し難しい映画かもしれない。
思ったより評価が低いのはそのせいだろう。
ただ、自分の中ではトップクラスに見応えのある映画だった。
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