まこ

ミッドサマーのまこのレビュー・感想・評価

ミッドサマー(2019年製作の映画)
4.0
アリ・アスターの世界が炸裂する。
圧倒的な美しさと光輝の中に
じわじわ現れる違和感⋯
気がついた時にはもう逃げられない。
恐怖はすぐ目の前まで迫っていた。

スウェーデンのある村の夏至祭りを
見に来た大学生たち。
しかし、
祭りの1番初めの儀式を見た瞬間から
それまでの和やかな状況は一変する⋯。

序盤から終始明るい、という訳ではなく
この村へ行くことになるまでの経緯は
意外と暗く、主人公の抱えるものが
その後の明るく美しい村との対比のように
陰を落としている。
なのにその陰すら、底抜けに明るく
美しい風景と村の人々の笑顔が
ゆっくり、ゆっくりと飲み込んでいく。

ところどころに出てくる奇妙な絵や
中身の分からない飲み物⋯
そして祭りの中に突如起こる衝撃の儀式。
それを境に、ひとりまたひとりと
姿を消していく仲間。
それすらだんだん気に留まらくなるほど
村に飲み込まれていく様を
ただひたすら見ている観客の恐怖たるや。

共に泣き共に喜ぶ姿に
これほどの恐怖と不快感を覚える映画は
ミッドサマーが初めてではないだろうか。
決して有り得ない話ではなさそうなのが
この物語の本当の怖いところだ。
まこ

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